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悦子
【SM 官能小説】

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悦子-23

 「シャワーを浴びたいのですけれど」
 「そうか。一緒にシャワーをしよう」
 「これは?」
 「それはしたままだ」
 「先生は変態みたいですよ」
 「みたいじゃない。変態なんだ」
 「居直っていらっしゃる」
 「ほら、股間を洗ってやるから脚を開け」
 「アッ」
 「気持ちいいだろう」
 「も、もう、堪忍して」
 「感じてるのか? 可愛いやつめ」
 「あ、もう駄目」
 
 股間と肛門に埋まった玉を栄一は手のひらでぐりぐり押し込むようにさすり、片手で背中を抱いて悦子の大きなおっぱいにかぶりついた。悦子は弓なりになって感じている。長時間の激しいセックスで火の付いた体はもう、僅かな刺激で燃え上がってしまうのだろう。腰が砕けて、風呂場の床に座り込んでしまった。口をあけさせて性器を突っ込むと、栄一の体を両手で抱いて栄一の性器を吸っている。今度はこの唇に真っ赤な口紅を塗って、これをやらせようと思った。
 悦子は皮の下着を穿いたまま、その上に服を着て帰って行った。濡れた皮は乾くと縮まる性質があるから、ますます食い込んで感じることだろう。バッグから用意してきたスカーフを出して首に巻いて帰った。

 それから暫く又1人で飲んで寝ると翌日は昼頃に目が覚めた。いい天気なので溜まっていた洗濯をして、ついでにシーツも洗った。全部干し終わってから悦子が持ってきた雑誌を改めて開いてみた。栄一は、

  『白い服白い下着と剥ぎ取れば 白い素肌がほんのり紅い』

 という短歌を悦子の為に苦労して作ったのだが、悦子は

  『余りにもああ余りにも美しい 君の心を僕は悲しむ』

  『ゆるやかにうねる腹部に口付けて ああ今日も又陽が落ちて行く』

 の2首も自分に捧げられた短歌だと思っていた。確かに言われてみればそう取れないことも無いなと思ったが、『余りにも』で始まる歌は『黒い乳房に頬すり寄せて』という短歌と同じ女をモデルに歌ったもので、その完璧に整った美しい顔を心にすり替えて作ったのだった。顔が美しいというのでは歌にならない感じがしたからである。そういう短歌だから出来映えはともかくとして栄一には特別の感慨があり、悦子に誤解されたのはちょっと遺憾な想いがした。
 しかし誤解を解く為に説明しようとは思わない。勝手に誤解されても仕方のないようなことをしてしまったのだから。それにしても悦子という女は「余りにも美しい心」なのであろうか。どうも良く分からない女である。単なる淫乱だとは思わないが、短歌を読んで作者に恋をしてしまうなどということがあるのだろうか。自分を、気に入った短歌のモデルにすげ替えて勝手にあれこれ想像して酔ってしまったのか。文学少女なんてそんなものかも知れないが、実際に作者に近づいて来て体まで提供してしまうというのはちょっと飛躍があるような気がする。しかし体を頂戴してしまった栄一としてはそれ以上深く考える必要は無かった。まあ、いずれ関係は終了するのだろうが、トラブルにならないように気を付ければ良い。それまではせいぜいやりたいようにさせて貰うだけのこと。
 そんなことを考えている正にその時、ドア・チャイムが鳴った。悦子に違いない。ドアを開けると白いワンピースを着た悦子が立っていた。初めて見た時の白いワンピースとは違う服のようである。デザインは良く似ていたが、少し銀色に輝くような生地である。薄くて柔らかそうで、これもシルクなのかも知れない。それにしてもいつも高そうな服を着ている。


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