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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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持つべきものは-6

「ふっ、若葉の次は私って訳かい、全くお節介も良い所よ!」
「お節介も何も、俺はただ心配で。」
「そういうアンタこそどうなのよ!いい加減恋の一つや二つやりなさいよ、いつまで逃げてんのよ、例のお隣さんの子とは何か進展はあった訳?」
「いや、それは…もう。」

急に立場が逆転し出したか、まぁ少なくとも先ほどまで元気がなかったよりはだいぶマシになったな。グイグイ彼を押し出す。

「色々と良くしてもらってるんでしょ?だったら。」
「けど!俺はもう恋何て。」
「佐伯君…。」

まぁ気持ちは分からなくはない、それに絶対に恋をしなきゃいけないって訳でもない。

「らしくないしょ!嘗て早乙女先輩に私、そして若葉を彼女にしたプレイボーイはいずこに?」
「まぁー、そういう事があったから。」
「…ひょっとしてまた傷つけてしまう泣かせてしまうって?」
「まぁそんな所かな…。」
「けっ、小心者!」
「何だよそれっ!別にいいだろう人がどうしようと。」
「そう怒鳴らなさんな、ワシはただお友達が心配なだけであってだな。」
「……。」

悪意に満ち溢れたデジャブー。

「ゴメンね、けどやっぱ恋はした方がいいよ?あたるの気持ちも分からないではないけどさ、やっぱ私の目からしたらアンタは少し壁を作ってるんじゃない?自分はもう恋はしてはいけないって。」
「巴…。」

相談を話す側がすっかり相談を聞く側に。

「別に責めてる訳じゃないのよ、ただあたるがまた恋をして楽しい人生を歩んだら良いなぁーーって、ねっ若葉?」
「えっ!あーうん、まぁー私は佐伯君次第だとは思うけど、もし巴ちゃんの言うように私たちの事で自分で壁を作ってるならそれは違うから…、そりゃー貴方と付き合っていた頃腹が立ったり傷ついた事もあったけど、そんなの誰にだってあるし、それ以上に私は貴方からもらったもの、沢山あるからさ。」
「柊さん…。」

こうしてみると皆色んな事を考えてるんだね。巴ちゃんに佐伯君、そして私…、人が人である以上葛藤やすれ違うは必ずあるんだね。

「まぁ、そうだな…このまま中途半端な感情のままじゃ気持ち悪いしな。」
「そうよ、お互いにね。」
「よし、じゃー俺そろそろ帰るわ、ありがとな…色々と相談に乗ってくれて。」
「いいえー♪また何か困った事があったらいつでも相談に乗るよー。」
「おうっ、じゃーなー。」
「はーい。」

ワザとらしい口調で、そのまま私たちに背を向けて店を後にしようとする。

「……。」
「………。」
「……誰か引き留めろよ!」
「あはは。」

お約束かっ!

それから彼はツカツカと戻っていき。

「まだ何か用。」
「あったり前だろっ!まだお前の問題は解決してねーだろ!」
「えぇーいいよー私はぁー、若葉の悩みを解決してくれただけでほぼほぼ充分だし、ありがたいって思ってるよー。」
「うん、ありがとね態々。」
「へへっ、どーいてまして。」
「けど私は本当に良いから。」
「え、でも…。」
「そうだよ、巴ちゃん。何でも気軽に良いなよ、この素敵な相談員さん、24時間通話無料だから。」

いつの間にか有能なカウンセラーにさせられている。

「ありがと二人とも、けど本当に良いの!何だか元気が湧いてきた。」
「巴…。」
「人に頼るのも悪くないけど、やっぱこういう事は自分で考えなきゃいけないって、そんな気がしてきたからさ。」

先ほどまでとは打って変わって目がキラキラし出した彼女。

「本当にありがとね、お陰で自信を取り戻せたよ。」
「そっか!」
「アンタも頑張ってね、一先ずアドバイスを送るなら自分に嘘はつかない事ね。」
「自分に…。」

こうして彼のお陰で自信を取り戻す事が出来、今度こそ店を後にした。



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