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BаBY
【初恋 恋愛小説】

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BаBY-1

「ねーねちゃん!今日もまぢ可愛いね!」
「音々ちゃぁん、いつなったら俺と遊んでくれんのぉ?」
「お、今日は肌のハリが違うねぇ。いいことあったんだ?」
「音々ちゃん今日もナイスバディぢゃん!!」

オーッホッホッホ!!たかりなさい、誉めなさい、野郎共!!アンタたちにそう言われるたび私のテンションは上がるのよ!

「あの男好き、今日もギラ付いてる…」
「調子乗ってるよね、ちょっと可愛いからって」
「相当自分に自信あるんだ、メイクばっちり…」
「尻軽ビッチ…」

妬みなさい、嫉妬に駆られなさい、女共!アンタたちにそう言われるたび私は美しく、可愛くなんのよ!

ビッチ…尻軽…男好き…上等じゃないの。嫉みや嫉妬は私のバネになるの。だけどね、相手を罵ることは自分が勝てる相手じゃないって認めてることなのよ。勝てない相手だから粗捜しをして、自分の方が勝っているという自己満足の世界に浸っているんでしょう?ふふっ、悔しかったら私を越してみることね!

私は東海林 音々、高校2年生。趣味は運動。だから、毎晩2Kmのウォーキングは絶対欠かせない。それと筋トレも日課ね。そうしなきゃ、この最高のボディラインは維持出来ないもん。綺麗になるためには何といっても努力が必要。毎日の習慣、食生活、自己管理、全てに気を配るの。何の努力もしないで私の陰口たたくなんて、私に言わせれば最も醜いことだと思う。見た目じゃない、中身が汚い。自分に自信が無いのかもしれないけど、そんなの努力すりゃあなんぼでも溢れてくるもんなのよ。
それにね、陰口たたく人も多いけど尊敬してくれる人も少なくないんだから。
噂をすれば…。
「音々!ニキビ治った。ありがとっ」
「そう、良かったわね。その洗い方、肌にすごくいいから続けなさい」
「わかった!」
ね?言った通りでしょう?私は美容のことをよく聞かれる。綺麗になりたくて努力する人には的確にアドバイスしてあげるの。

「音々、勉強教えて!」

あ、言い忘れてたけど、私頭も良いんだから。学年トップとまでは行かないけれど、毎回3位以内には必ず入る。なので、この手の質問もよくされる。もちろん、丁寧にわかりやすく教えてあげるわよ。
まあ、いわゆる私は才色兼備ね。可愛いくせに頭もいい、最高でしょ?これも努力の賜物よ。
だけどね、私は努力しているところを人に見せない。何でって?決まってるじゃない。その時は、スッピン&ジャージなんだもの。私はいつでも格好よくて、綺麗でいなきゃいけないの!自分がそうありたいの!

こんな完璧な私なのに、実はホントの恋をしたことがない。何て言うか、どいつもこいつも違うって言うか…。合わないって言うか…。私、高望みしすぎなのかしら?

授業の短い休み時間。私はある男から廊下に呼び出された。
「おい、音々。お前今、いい奴いんの?」
「はあ?」
コイツは藤崎 ナオ。私の…まあ、いわゆる腐れ縁て奴ね。小学生から一緒。
「いるって言ったら?」
「誰?って聞く」
「誰だと思うの?」
「もちろん俺でしょ」
こうやってナオはいつも私をからかう。
「ブーッ。アンタ、馬鹿?やっぱり私にはそれ相当の男じゃないと釣り合わないわ。アンタみたいな地味ぃ〜な男とは月とスッポンよ」
ナオは黒ブチの眼鏡を掛け、女の子みたいな顔立ちで色も白く、もしかしたら私より細いんじゃないかと思うほど、ひょろひょろしている。身長が高いから尚更細く見える。それに…テストはいつもトップ。


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