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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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初めての後輩-5

教室は相も変わらず賑わいを見せている、はしゃぐ男子に談笑を絶えない女子。三年のクラスもすっかり慣れ始め。

「………。」

けどそこに一人魂が抜けたように机にへばりつく子が。

「巴ちゃん。」
「…。」

今朝一緒に登校した、まぁ最近元気もないし心配私から家に寄ったのもあるけど。

そこでここ最近の事を耳にして。

「…その黒崎君って人が。」
「……。」

力なく腰をあげ、無言で首を縦に振る巴ちゃん。

「あの時私たちはお互いの事を思って別れた、それで私は良かったって思った諦めもついたし、…けど彼はそうじゃなかった。」
「……。」
「勿論彼の事は嫌いじゃないよ、バイト先でも色々助けてもらって、偶然の再開だって嬉しかった、でも。」
「告白、いや復縁を求めてきたんだね。」
「連絡先を走ってよこして来た時、そしてその時の彼の真剣な顔、まさかとは思ったけどやっぱり。」
「巴ちゃん…。」

私に後輩が出来て浮かれている間にそんな事が。

ここでようやく重い口を開く。

「…どうするの?彼の誘い、受ける気じゃ…。」
「っ!それは…。」

当然良い訳がない、だって。

「一条君は!?彼はどうするのよ!」
「……。」

大事な事なのでやや強めの口調で彼女を責め立てる。

「も、もちろんそんなのはっ!…けど、あいつは。」
「……。」

今日も彼女は彼とろくな会話をしていない。

「先輩っ!」
「っ!」

するとそこに割って入るように茜ちゃんが、扉から私を呼び。

「演奏、ちょっと聴いて貰いたいんですけど今大丈夫ですか?」
「…あー、今はちょっと。」
「行きなよ先輩。」
「っ!」
「私はもう古い友人、こーんな不倫すんぜんの女なんぞ放置してアンタは輝かしい未来へと進むがいいさ、あはは。」
「巴ちゃん…。」

皮肉にも言葉通り、ボロボロの枯れ木に見えてしまったけど。

私は彼女に背を向け、茜ちゃんの所へ向かう、けどその途中一度クルッと体を回し。

「バカッ!」

と投げやりな彼女捨て台詞を言い放つ。


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