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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♠愛しのあの娘♠-8








「あー、絶対優勝する自信があったんだけどな」


俺の隣で松本が伸びをしながら言った。


コンテストを終え“blue tears”に戻った松本は、天童さんに髪の色を戻してもらい、ヘアスタイルも日常生活用に手直ししてもらった。


ベリーショートにルーズなパーマをかけた松本は、モードな雰囲気から一転して、フェミニンな可愛らしい雰囲気へと変身していた。


まったく、コイツはどんな髪型でも似合うんだからな。


すっかり静まり返った深夜の住宅街。松本のパンプスがアスファルトを鳴らす音が響く。


コンテストの1日が終わり、店を出た時にはすでに日付が変わる頃だった。


「でも、3位ってすげえじゃん」


「んー、そうなんだけど。でもさー、どうせなら優勝していいとこ見せたかったじゃない」


「そうかなあ、俺は充分……」


言いながら、ステージに立つ彼女の姿を思い出して、鼻の頭を人差し指で掻く。


天童さんのプレゼンに合わせ、ランウェイを歩く松本のあの表情は本当にイキイキと輝いていたっけ。


恋がテーマだという今回のコンテスト。


天童さんは闇の中で輝く強い一筋の光をイメージした、とプレゼンで言っていた。


黒いドレス。黒い髪。その中に光を表すスパンコールと、銀色にブリーチした毛先。


クールさを前面に出した松本は、いつものキュートさよりも、かっこよさが引き立っていた。


「ね、天童さんが表したっていう、一筋の光の意味、教えてあげようか?」


ふと、右手に松本の指が絡まる感覚がして、ドキンと胸が高鳴った。


横を見れば、ニッと口角を上げた不敵な笑み。


「あれ、天野くんのことなんだよ」


松本はそう言うと、繋いできた手にキュッと力を込めた。




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