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ニカイノカノジョ・サンカイノカレシ
【OL/お姉さん 官能小説】

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セイフクノカノジョ-1

ー今日もルカの顔が見れなかった。

 21時少し前の喫煙所には、もう誰も上がってこない。まだいくつかのフロアには人が残っているようなのだが、定時を過ぎてかなり経つと、本来禁止されている非常階段で済ませてしまう社員が多いらしい。
 お互いに日曜出勤して、9階の倉庫でしゃぶってもらったあの日以来、こちらが忙しくなってしまい、最初はルカから届いていたラインも、スタンプ一つ満足に返せなくなって、次第に届かなくなってしまった。
 そうこうしているうちに、風のウワサで2階の派遣社員と契約社員が相次いで退職したと聞いた。まだ人員は補充されておらず、皺寄せは、若手のルカが一手に引き受けているらしい。
 昼間、寺島係長がルカがまともに休憩すら取れていないのではと心配していたことを思い出す。言われてみれば、今まで始業前も、昼休みも、終業後もここにさえ来れば顔だけは見れたのに、今週に入ってからは一度も会えていない。

ー会いたいな。

 あの柔らかい笑顔を見たい。欲を言えば、抱き締めたい。切なげな声で鳴かせたい。

ーもしかして、避けられてる、か?

 こちらはしがないバツイチのくたびれたオヤジだが、向こうは若くて可愛らしいお嬢さんだ。支社内でも人気が高いし、あまり聞かないが、プライベートな異性の友人だっているだろう。何もこんなのを相手にしなくても、困らないはずで。
 何度目かわからない溜め息と一緒に煙を吐き出すと、エレベーターがこのフロアで止まった音がした。聞き慣れた足音に耳を疑いながら振り返ると、窓ガラス越しにずっと見たいと思っていた笑顔が。

「お疲れ様です」

 そのまま田中の前に駆け寄ってくると、背中に腕を回してきた。

「お疲れ。久しぶりだな」

 抱き締め返し、頭を撫でる。よかった。嫌われたわけではなかったらしい。

「少しだけ、こうしててもいいですか?」

 胸に顔を埋めたまま、ルカが言う。

「少しだけじゃなくて、ずっとこうしててもいいぞ?」

 頭を撫でながら答えると、ぷっと吹き出した。

「ここじゃずっとは無理です」

「確かにな。ここじゃ脱がせられないしな」

「脱がすんですか?」

「脱がせたいなぁ。服着たままのほうが好みか?」

 危険を察知したのか、身を捩らせようとしたルカを押さえ込み、唇を奪う。誰かに見られるかも、という不安よりも、久しぶりに会えたこと、ルカから求めてきてくれた嬉しさが上回りすぎている。

「このままここで脱がされるのはイヤです」

 柔らかい唇をかなり堪能して、息が続かなくなって仕方なしに離すと、不満そうに頬を膨らませたルカがこちらを見上げていた。

「脱がさなきゃいいのか?」

「そういう問題じゃ。いやっ」

 形のいい臀部に手のひらを這わせたせいだろう。短い悲鳴はすでに甘い。細い腰を抱き寄せ、すでに固くなったそこを押し付ける。黙らせるように再び唇を防いだ。半分諦めたのか、小さな身体から少し力が抜ける。

「オレに触られるのイヤか?」

 耳元に囁くと、仰け反った首筋に唇を這わせる。

「…ここじゃイヤ」

 小さな手が、快感を堪えてシャツを掴む。

「なんで?」

「なんでって。誰が来るかわからないし、明るいし」

「やっと会えたのに?」

「やっと会えましたけど、ここ、会社だし…」

「オレは誰に見られても構わないぞ?まぁ、色々怒られるだろうけど」

 ルカが再び吹き出して、緩んだ腕から抜け出した。はい、おしまいとでも言いたげな顔をして、灰皿を取るといつもの席に座る。

「課長、まだお仕事残ってますか?」

「あぁ。ルカはもう上がりか?もうっていってもかなりの残業だよな」

「もうウチの課長も帰るって仰ったので、今日は終わりにしました。最近はだいたいこのくらいの時間です」

 いつもの煙草に火を付けたルカに倣って、自分も2本目の煙草に火を付ける。

「色々あったみたいだな。ごめん、肝心な時に何も聞いてやれなくて」

「課長がお忙しいのはわかってますし、今日最後にお会いできただけで充分です」

「オジサンはアレだけじゃ満足できないぞ?」

「なんでソコでドヤ顔ですか?でもまだお仕事残ってるんでしょ?」

 呆れたように笑いながらも、目は誘っている。

「もう帰るって言ったら、ウチ来るか?最近まともに片付けてないし、冷蔵庫も空っぽだけど」

「いいんですか?」

「ダメだったら誘わないよ。その代わり、帰らせないぞ?」

「お泊まりセット、ロッカーに置きっぱなしです。見るたびに出番がないなって凹んでいたんですよ?」

ーあぁ、よかった。ルカもまだ同じ気持ちでいてくれたんだ。

 軽く打ち合わせをしてから喫煙所を出る。着替えと荷物を取りに一度2階に戻るルカと一緒にエレベーターに乗り、先に3階で降りた。まだ残っている部長に断りを入れて、自席を片付けて外に出ると、すでに私服に着替えたルカが月を見上げて立っていた。

「お待たせ。夕飯、何がいい?ってこの時間じゃ居酒屋くらいか?」

「駅のこちら側なら、和食屋さんがまだいけると思います」

「じゃあ、そこにするか?荷物、持ってやろうか?」

「大丈夫ですよ。着替えと制服くらいしか入ってませんし」

「お。制服か。準備いいじゃん」

「違います、週末だから持って帰って洗濯するんですっ」

 呆れたように頬を膨らませたルカと並んで歩く。

「こうやって並んで外歩くの久しぶりだな」

「そうですね。最初にお家にお邪魔して以来ですよね」

 あれはまだ寒い頃で、まだルカがウチから5分くらい先のアパートに住んでいた頃だ。個人的な相談に乗ったのがきっかけだった。


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