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HAPPY HELLOWEEN 〜ハッピー・エロウィン〜
【学園物 官能小説】

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第6話『ハロウィン余興、スナップ・ドラゴン』-2

 山盛りな干し葡萄の脇。 1つの小机に1人、開口具で常時全開を強制された少女たちが待機する。

『位置について、用意……』

 パァン。 Bグループ生が一斉にクラッカーを鳴らす。 と同時に擦ったマッチがブランデーに落ち、ぽわあ、干し葡萄すべてが淡い炎に包まれた。 校門の照明が辛うじて目視できるかどうかまで縮み、辺りに夜の帳が訪れる。 暗がりの中で、青白く燃える干し葡萄と、炎が照らす開口具たち。 

 ブランデーが燃えるのは、要はエタノールが燃えているのだ。 ということは炎の温度はいざ知らず、液体表面温度はエタノールの沸点、つまり約60度に留まり、少しなら口に入れても耐えられるレベルだ。 理科の知識を齧っていれば、どうすれば燃える葡萄を食べられるのか、方法は自ずから明らかだろう。 干し葡萄を一気に頬張って口を閉じる。 そうすれば酸欠で炎が消えるので、あとは唾液ではふはふ冷ませばいい。 問題は開口具が口を閉じさせてくれないことだが、これは開口具ごと机に突っ伏して蓋をすれば、酸素の供給は断てる気がする。

「ぱくっ……あづっ!?」

「ううう……は、はっひっ、あふぅっ……!」

 というふうに理屈で攻めてみるも、私はあくまで外野に過ぎない。 実際に炎を前にして理路整然と行動できるかといえば、そんなわけはない。 少女達のように、おっかなびっくり顔を近づけては炎に焼かれて引っ込めるか、必死の思い出咥えてみてもすぐに吐き出すのが関の山と思う。 それだけに、

「あぐっ……ふがっ、あんぐ……むぐっ」

 次々と干し葡萄に喰らいつく数名の少女には、素直に敬意を表そう。 特に『2番』のネームプレートをつけた少女――確か、あのコもフランケンの仮装で家にお菓子をねだりにきた――は頭一つ抜けている。 口を拡げては葡萄の山に横からかぶりつき、2、3粒纏めて噛み千切っては机で蓋をして消火、嚥下している。 確かに1粒1粒食べるより効率はいいだろうが、その分口に入るブランデーも多くなり、熱さは何倍にも達するだろうに……生まれつき熱に強い肌質なんだろうか? 気合で痛みを抑え込んでいるとしたら、本当に大した根性だ。

 競技が始まってから5分が経過する頃には、最優秀生徒は誰の目にも明らかになった。 大方の少女が10粒前後を彷徨う中、2番のテーブルには干し葡萄数粒が残るのみ。 

『競技はクラス対抗です。 すべて食べ終わった生徒は、その場に第3姿勢で待機すること。 まだ食べきれていない生徒は、ブランデーの炎が弱くなったころがスパートですから、最後まであきらめないように。 クラスで食べた葡萄の多寡が、第二種目の勝敗を決めます』

「んぐ……ッ」

 途中に入った放送が終わると同時に、2番の生徒が『がに股』になった。 直立から太腿が水平になるまで腰を落として股間を晒す、学園で最も頻出する『第3姿勢』。 つまり、少女はあれだけの干し葡萄、しかも燃え盛りながらを完食したわけだ。 

 ブランデーが燃えるに従い、炎は徐々にか弱くなる。 競技が始まって10分が経過した頃から、1つ、また1つと炎が消える。 全ての炎が消えるまでに完食できた生徒は、結局2番ただ1人。 再び校門の照明が点灯し、Bグループ生がそれぞれの皿に残った干し葡萄を数える。 炎から解放された少女たちは、私達ギャラリーに深々と頭をさげてから、ぱっくりと口を拡げたまま、机と皿を携えて校門に消えた。



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