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スイッチ、オン 〜 The actress on through the lens
【その他 官能小説】

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第四章 成長-1

 「あ、このまえウチで買ってくれた靴だね。」
 「だよ。どうですかね、靴屋の店員さん。」
 「大変お似合いですわ、お客さま。」
 ルリアとはもう何回も二人で会っている。水族館やらショッピングやら、いろんな所に。そろそろかなーなんて思い始めてるんだけど、せっかくいい感じなのに壊したくなくてなかなか行動に出られないでいる。
 今日は港の見える丘にある公園に来ている。潮風が気持ちいい。松並木をブラブラ歩いた。
 「ところでさ、どの辺の出身なの?ルリアちゃん。」
 「うーん、ここから北に十キロぐらいかなあ。わりと近くだよ。」
 「え、もしかして」
 俺はそのあたりにある市の名前を言った。
 「うん。そうだよ。」
 「俺、子供の頃住んでたんだ。二年間ほどだけどね。」
 「そうなの?どこかですれ違ってたりしてね。」
 「してね。」
 「家、どの辺だったの?」
 町名、番地を告げた。
 「うわ、至近距離だ。ていうか、最後の枝番の前までは同じだよ。」
 「おお、絶対会ってるね。」
 「るね。」
 その頃のことを思い出しているうち、松並木の中間地点の噴水広場に出た。
 「座ろっか。」
 「ろっか。」
 だいぶ俺のクセがうつってきたようだ。
 「ねえ、なんで二年しか居なかったのに、住所、覚えてるの?」
 「うん…忘れられない人が居たんだ。」
 「聞き捨てなりませぬな。」
 「なられませぬな。」
 「どんな人なの?」
 「本名知らないんだけど、俺はアーちゃん、って呼んでた。とてもおとなしい子でね、なかなか他の子たちの輪に入れないでいたんだ。で、声をかけてだんだん話すようになってさ。かけがえのない人になってた。ん?どうしたの。」
 ルリアちゃんは目を見開き、口に手を当てて俺をじっと見ている。
 「私のことをね、アーちゃんと呼ぶ男の子が一人だけ居たの。その子は…」
 「二年後に引っ越していった…。」
 見つめ合った。
 「そうなんだ!」
 「アーちゃん!」
 そうか、それで初めての気がしなかったんだ。だって、初めてじゃなかったんだから。
 「うわあ、あの頃もすごく可愛かったけど、綺麗になったねえ。」
 「そんなこと、あの頃は言ってくれなかったじゃない。」
 「恥ずかしいじゃないか。」
 「でも今、綺麗って言ってくれたよ。」
 「それを本人に言えるぐらいにはオトナになったってことかもね。」
 「私もオトナにはなったつもりだけど…やっぱり人と話すの苦手なままだよ。」
 「それが謎なんだけどね。このまえ高校で演劇やってた時の動画見せてもらったけど、メチャクチャ堂々と喋ってたよね。いっぱい観客居るのに。」
 「それはね、スイッチなのよ。」
 「スイッチ?」
 「舞台に立つと、女優モードにチェンジ!」
 「ああ、そういえば、ときどき正義のヒロインに変身してたよね。最初はびっくりしたよ、完全に別人だもんな。決めゼリフなんだっけ?月…」
 「やめてよ、子供の頃じゃない。恥ずかしい。」
 「恥ずかしいと言えばさ、二人並んでオシッコしたの覚えてる?」
 「…。」
 「忘れたか。」
 「覚えてる…よ。」
 「…だよね、だって俺のをじーっと見てたもんな。」
 「そっちだって。」
 「子供だったなあ。今、あんなこと出来ないよな。」
 「よな。」
 「ね、アレがどんなオトナになったか見せてやろうか?」
 「セクハラ!」
 「セクハリました。」
 「逆に、私がどんなオトナになったか見せてあげましょうか。」
 「見せてあげられましょう…か、かあ。」
 沈黙。
 「…ごめん、アーちゃん。」
 「あ、いえ、こちらこそ…。」
 水平線がキラキラしてる。そろそろ日暮れか。
 「子供の頃の方がいろいろ自由だったね。」
 「そうだなあ、男だ女だ意識しないで遊んでたもんな。」
 「ほんとにー?私の事そういう目でみてなかったー?」
 「見てなくなかった、です。」
 「あはははは、まあ、私もだけどね。」
 「そうだったんだ。」
 「性欲ってほどのもんじゃなかったけどね。」
 「今は俺にそれを感じるの?」
 アーちゃんはじっと俺を見つめた。
 「ばか…。」
 あたりはもう薄暗い。周囲には誰もいない。
 「ずっと会いたかった。アーちゃん。」
 「私も…。」
 俺はアーちゃんの肩を抱いて引き寄せた。彼女は抵抗せず俺の肩に頭を預けてきた。俺の首筋にサラリと掛かった髪の控えめな香りが鼻孔をくすぐった。温もりを伝えて来る頭を撫で、顔をこっちに向けさせ、そっと唇を合わせた。
 「こういう運命だったのかしら。」
 「ただの偶然だよ。…なんて素敵な、偶然。」
 「ね。」
 「ん?」
 「オトナになった私を見たいって言ったよね。」
 「え、いいの?」
 「見られるのは恥ずかしいけど、触るだけなら…いいよ。」
 すっかり日が暮れ、人影は全くない。
 「誰にでもじゃないからね。」
 「俺だから?」
 「うん。そうだよ…。」
 俺はアーちゃんを抱き寄せているのと反対側の空いている手を、彼女の太腿とスカートの間に滑り込ませた。一瞬身を固くしたが、俺の方を見つめた。その瞳はトロンと潤んでおり、俺の行為を拒否しないという意思がはっきり表れていた。
 俺は彼女の太腿の内側に少しづつ手を滑らせて行った。下着に触れた。指先でそっと撫でた。
 「分からないでしょ、布の上からじゃ。」
 「そうだね。」
 下着と太ももの間に手を差し入れると、指先がカサカサした物に触れた。


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