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スイッチ、オン 〜 The actress on through the lens
【その他 官能小説】

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第二章 すれ違い-1

 「あんた、お客さんに手を出したでしょ?」
 「なんのこと?」
 「見たよ、昨日二人でスマホ契約してるとこ。」
 「見られましたか。」
 「…。」
 いつもならさらにからかってくるナツミが何故か口ごもってる。
 「なんだよ、訊いてこいよ、どこまで進んでるの?とかさ。」
 「…訊いていいの?」
 「いいよ。」
 「ど、どこまで?」
 「教えなーい。」
 「キサマー!」
 バーン、と背中を叩かれた。いつも通りのナツミだ。気のせいだったのか、なんかヘンに感じたのは。
 「あーあ、私もカノジョ欲しいなあ。」
 嫌味混じりの横目で言ってきた。
 「おや、ソッチのお方でしたか。」
 「違うわ!」
 バシーン!
 「なんでやねん…。」
 「まあまあ、あいかわらず仲がいいわね。」
 先輩のユリカさんだ。
 「違いますよ。」
 「そうそう、違うってば。」
 ナツミは先輩のユリカさんにため口だ。
 「そう?まるで幼馴染みたいにみえるけど。」
 …?何かが俺の中で引っかかった。
 「さっき入荷したやつ、品出しお願いね。」
 「はーい。」
 「うん、任せて。」
 「じゃ、お先に。」
 「お疲れ様でした。」
 「またね。」
 本屋というのは様々な需要に対応できるように品揃えをする必要がある。といってもスペースには限りがあるから、仕入れ担当者の個性が出る。それがいろんな店をまわる面白さでもあるのだが…。ウチでは店長が発注を独占しているので、完全に彼女の色に染まっている。
 「ねえ、男の子って、やっぱりこういうの好きなの?」
 ナツミがかなりモロな雑誌を見せてきた。こらこら、商品だぞ。
 「まあ…そりゃあねえ。」
 「どうしてオンナのカラダにそんなに興味あるわけ?」
 「子孫を残すためだろ。」
 「もう一歩踏み込んだ質問。どうしてココとかココを見たいの?それがエッチに重要な役割を果たすって知らなかった頃からそうだったでしょ。」
 「言われてみれば。」
 「例えば、なんで手のひらじゃなくて、こういうところを見たいんだろね。」
 そういうところが見えかかっているページを目の前に突き出してくる。
 「うーん、遺伝子レベルでそこを見たいようにプログラムされてるんじゃない?」
 「それって、誰のでもいいのかな。」
 「違うと思うよ。少なくとも俺は違うね。若くて可愛い子にしかそういう気にならない。」
 「それ、例えばあの子なわけ?」
 「まあ、そうだなあ。てか、そうだなあ。」
 ナツミはなんかむくれてる。
 「じゃあさ、私のそういうところは見たくなったりしないのね。」
 いや、そんなことはない。ナツミって、気はキツイけど女の子として魅力がないというのとは違う。実際、時々胸やお尻をチラみしてしまうことがあるし。でもそれ、本人に言えないよな。
 「やっぱりそうだよね。」
 勝手に決めつけて仕事に戻っちゃった。
 そのあと、特に個人的な会話も無く閉店までの営業を終え、レジ締めや清掃、在庫確認などをして戸締りし、店を出た。


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