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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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36歳の迷走-2

あの人を探すように繁華街を歩いていると、懐かしいBARを見つけ立ち止まって看板を見上げてしまっていた。この店にあの人に一度連れて行って貰ったことがある。もう10年位昔の記憶だった。あの当時からあるお店を見上げる私を怪訝に通行人が一瞥していることは分かっていた。まだ昼過ぎだ。お店は開いてないだろう。それでもあの人と行ったお店があった事実が嬉しかった。

「どうかなさいましたか?」

自転車に野菜を載せた明らかにバーで勤めてると分かる派手な顔立ちの背の高い男性に声を掛けられていた。

「久しぶりに来たら、まだこのお店やってて驚いていたんです」
「そうですか。僕はここのマスターですがどれくらい久しぶりなんですか?」
「多分、10年位になるわ」
「じゃ、一度僕と会ってますよ。僕はこのお店で15年になります。10年前だと高校でて5年目位ですから24歳、5歳って頃です」
「そんなに長く勤めてるの?」
「このお店は、もう30年はやってるそうですよ。今はマスターですけど当時はボーイでしたしオーナーはもういい歳になられましたのでお店を任してくれているんですよ」
「そうなんですか。じゃ、マスターと私は歳が近いのね」
「そうなんですか?若く見えます。まだ20代か30歳位かと思いましたよ」

流石はBARで15年勤めてるだけはある。さりげない社交辞令をこの爽やかな笑顔と180cmのスタイルで褒められると落ちる女性もいるだろう。モテる男だけが持つ圧倒的な自信で輝いていた。

「よかっから、少しお店入りますか?」
「え!いんですか」
「勿論です。僕が任されてるお店ですから。足元、気を付けて下さいね」

階段を登りながら爽やかな笑顔でこちらに振り返って気遣う仕草は、完璧にイケてる男だけが似合う素敵な行動だった。高いヒールに苦労する私に何の躊躇いも無く手を伸ばして慣れた手付きで扉に案内する姿には文句の付けようの無い品が備わっていた。モテる男は違うわ。関心する私を置いて店内のライトを点けたマスターは早速カウンターに私を案内して優しく微笑んでいるようだった。

「何か作りますよ。ワイン、カクテル、スコッチ何でも大丈夫ですよ」
「流石ね。じゃ、レモンでカクテルをお願いしようかしら」

慣れた手付きでカクテルを用意したマスターは、私の話を引き出すように優しい笑みで黙って話を聞き始めてくれていた。私は堰を切るように話し続け、何杯飲んだか分からないほど時間が経ってしまっていた。


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