〈微笑みの裏側〉-14
『英明？そうか、花恋ちゃんの彼氏は英明君っていうんだ』
『きっと英明君はイケメンなんだろうねえ？こんなオジサンみたいな醜男と違って……』
「ぬッ抜いてお願いぃッ!!私の声が聞こえてんでしょッ!?うあッ!?や、やだあぁぁあぁッ!!」
『あ〜、チンポが入っていく。ズブズブ入っていっちゃうよぉ……ムヒヒヒヒ！』
怒りと哀しみの混じりあった悲鳴の中、花恋とオヤジの股間はピッタリと密着してしまった……赤く腫れた目は繋がっているオヤジを感情のままに捉えるが、それは哀しくも“一突き”で虚空に消えた……。
「んあッ…!?あ"う"ッ!!」
いくら相手がキモオヤジだったとしても、花恋の身体はこれまでの執拗な愛撫に燃え上がっている最中にある。
花壺の中にある肉襞の一枚一枚は、それぞれが別個の意思を持つように往来する亀頭を感じてしまっていたし、子宮の存在を教えてくるようにコンコンと衝突する感覚すらも、鮮明に伝えるようになってしまっていた。
『英明君のチンポじゃないのに、そんなに悶えちゃうんだ？』
『気持ち良いんでしょ？遠慮しないでイッちゃいなよ、花恋ちゃん？』
「ん"ぎ〜〜〜〜ッ!!」
『そんな声出したって、気持ち良すぎて口角が上がってるじゃない。僕達に誤魔化しは効かないからね？』
乳首や首筋や脇腹までも弄ばれると、触れられた皮膚の部分だけが強電流を流されたように弾け、それは直ぐに全身にまで及んでいった。
もはや健全なのは意識だけといった様相であり、それでも喘ぎ声だけは出すまいと堪える唇は、白い歯を剥き出しにしてワナワナと震える。
『あ〜、気持ち良い……花恋ちゃんのオマンコ気持ち良い〜……』
「ッ!?ッ!!ッ!!」
突き上げる角度を変えながらのリズミカルな腰使いに、花恋は緊縛の麻縄を引き千切らんばかりに仰け反っていった。
妊娠という最悪の事態を招くかもしれない男性器の《暴力》に、被害の当事者である花恋は女体の昂りを隠せない。
髪を掻き上げられたり乳首を摘ままれたりという、殆ど嘲りでしかない愛撫にも悦びを見せてしまう花恋は、純真な心が健在であるが故に苦しみも酷かった。
(……し…死んじゃった方が…ッ)
もう何もかも嫌になった。こんな状況下にも関わらず、快感を認識してしまっている自分自身が。
そして何の希望もない、苦痛しかない未来が。
一度は英明の言葉で思い直した花恋だったが、その英明との関係すら失われようとしている今、もう迷う事は無かった。
花恋は懸命に舌を伸ばして前歯で挟み、そして一気に噛みきろうと歯を食い縛る……両手も両脚も使えないこの状況では、それしか手段が無かったからだ……。