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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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浴室-1

あの人は照れ笑いを浮かべながら、先に湯船で待ってて下さい。とわたしを促していた。

「優しいのね。先に入るわよ」

中で出されたわたしを気遣うあの人なりの優しさだと理解していた。先に待ってるわね、と足元に落とされた下着を履き直しパンプスの留め金を外して誘うように見上げて笑ってあげていた。

「可愛いです。素敵です」
「知ってるわ。私を甘くみないでくれるかしら?」

大きく目を見張ったあの人に爆笑しながら脱衣室に向かい、間違いなくお尻を見つめてるあの人を思い笑いが止まらなかった。

馬鹿ねぇ、男って。湯船でそっと独り言を呟いていた。湯花が浮かぶ茶褐色の泉質と辺りを漂う檜の香りに身体を預け、湯船から眺める二脚のウッドチェアを見つめて身体を伸ばして寛いでいた。湯船から登る硫黄の湯気を見上げた空には、翼を広げた大きな鷲がゆっくり旋回しながらわたしを見下ろしていると思わせるほど、わたしの心は満足していた。素敵な温泉ね。誰にともなく呟いてあの人と過ごす一泊の旅行を大切にしようとわたし自身に言い聞かせていた。

「入りますよ」
「真面目ね。どういうことかしら?」

浴槽のふちに腕を載せてあの人の行動を確認していた。あの人は以外にも礼儀正しく股間を隠して浴室に入り、きちんと掛け湯を済ませてから私を探しているようだった。真面目ねぇ。関心しながら、ここにいるわよと湯船から手を振って教えてあげていた。

「やぁ、そこですか。身体洗ってから入りますね」

檜の椅子に座り、掛け湯を繰り返して洗い始めようとしていた。

「わたしが洗ってあげようか?」
「本当ですか?」
「いいわよ。だからこっちを向いて待ってるのよ」

言われた通り湯船に向き合うように座り直したあの人は、湯船から上がるわたしを遠くから見上げているようだった。

「やだ、そんなに見ないでよ」
「綺麗ですよ、スタイルいいですね」
「本当かしら?もう30歳近い元人妻よ」
「まだ28歳です。イケます」
「イケるのね。はいはい、分かったからじっとしてるのよ。普段はどこから洗うのかしら?」
「いつもは、あたまから洗います」
「はい、じゃぁこっちに頭を下げていなさい」
「頭も洗ってくれるんですか?やったね」

私に向かって頭を下げたあの人の向こう側の鏡に今のわたしが映っていた。鏡のわたしは少しだけ垂れた胸が左右に揺れる完全に熟しかけた女の身体だった。もう20代前半の弾くような張りと輝きは見当たらなかった。

「ねぇ、シャンプー取るからもう少し屈んでくれる?」
「こうですか」

深く前屈みになったあの人の真後ろからシャンプーポンプを手に取る時、わざと頭の上に胸を載せてからかって私の身体を誤魔化していた。

「あたってますよ!」
「知ってるわよ。柔らかいでしょ」
「おっぱい柔らかいです。軽いんですね」
「ちょっと、小さいってことかしら?」
「違いますよ。身体が細いってことです」
「それ褒めているのかしら」
「はい褒めてます。よろしくお願いします」

くだらない会話なのは分かっていた。それでも2歳の年の差が気になってしまっていた。24、5歳の女性には敵わない。そんなことは十分理解していた。今の幸せを逃したくなかった。お願いだから私だけを見ていて欲しかった。だから私は、あの人の頭の上に胸を載せたままシャンプーを手の平で泡立て、願いを込めてゆっくりと髪の毛を労わるように洗い始めてあげていた。

「かゆいところ、あるの?」
「いや、ないですけどちょっと」
「ちょっと?ちょっとなに?」
「すんごい至近距離で見えてます」
「何かしら?」

あの人を見下ろした私は笑ってしまっていた。私はあの人の顔の直ぐそこで脚を開いて頭を洗ってあげている姿だった。

「ちょっと言ってくれる?恥ずかしいわよ」
「凄い丸見えなのでせっかくだから見てました」
「触っちゃだめよ。洗ってあげてるんだから」
「はい。でも覗いててもいいですか?」
「どーぞ、お好きなように」
「できれば、ヤンキー座りでお願いします」
「エロいわねぇ。これでいいのかしら?」
「最高です!」

まっ裸でM字開脚を顔に近付けながら頭を洗ってあげるなんて初めてだった。恥ずかしかった。それでも私だけを見ていて欲しくて、あの人の為に開脚を閉じることなく泡立てたシャンプーに願いを込めることしか私にはできなかった。


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