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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第10話『進路相談』-4

「えっ……ぐ、軍隊……ですか?」

「そ。 去年の卒業試験をラストチャンスって決めてたんだ。 ホントは私も進学したかったんだけど……4回失敗して諦めた。 今年は絶対就職する。 となると職業は選んでられないよね。 Aグループ生なら軍隊は無試験、無条件で編入できる。 しかも兵站兵よりも2階級上の、騎兵からスタートできるんだって。 内々定も80パーセントを超えてるらしいし、私にとってみれば願ったり叶ったりだよ。 進学はムリだけど、『卒業後就職条件』でなら卒業させて貰える自信はあるし、インターンで軍隊にいって、軍隊に就職して昇進して……うん、我ながら悪くないアイデアだ」

 パンフレットをヒラヒラさせながら、誰に同意を求めるでもなく、1人頷く【A5番】。

「で、でも……本気なんですか? だって、軍隊って目茶目茶厳しいっていうのが常識です。 上下関係は絶対で、石を食えっていわれたら即座に食べなきゃいけないとか、空を飛べっていわれて崖からダイブさせられるとか、とんでもエピソードが目白押しです」

「いやいや、私たちの『学園』だって、ここ『史性寮』だって大概だよ〜。 軍隊と比べても遜色ないくらい、メチャクチャでぶっとんでると思うよ」

「まあ、そういわれるのは否定しませんが……ですけど『学園』で人が死んだり怪我したりするのって、何だかんだいっても少なくないですか? 軍隊はポコポコ死人が出るって専らです」

「あくまで噂だけど、まあ事実だろうね。 でもさ、そういうの、軍隊だからしょうがないんだよ、きっと。 学園と同じで、無茶をやったら人死にもでるって。 まあ、だからこそ補充兵の募集なんて美味しそうな話がぶら下がっちゃうわけでさ……自治区も物騒なご時世だし、戦争の種には困らないから、仕事にあぶれる心配はなさそうだよね」

 【A5番】は肩を竦める。 【A1番】の危惧なんて十二分に分かっているからだ。 軍隊の上官は、おそらく【A5番】が接した誰よりも厳しいだろう。 『狂っている』といった方がいいかもしれない。 『学園』の教官連中は、一見狂っているようにみえて、最後の一線は踏みとどまってくれる。 けれど軍隊の上官とは、あくまで勘ではあるが、そういう甘い信頼関係は築けない気がする。 

「なんか……寂しくなります。 あたし、何となくアコさんも私と一緒で、進学志望だって思ってました。 一緒に進学できたらいいな〜、なんて考えたりしてたんです……」

「ふふふ……残念でした、お門違い。 私は根っからの武闘派なんだよね」

「でも、やっぱりアコさんはすごいです。 体育系も出来るし、勉強も良く出来るし」

「あっ、兵隊さんのことバカにしてるでしょ? 『賢くなければ生き残れない』……兵隊さんだって賢いんだぞ」

 そういうと【A5番】は薄く微笑んだ。 奇しくも【A1番】が正鵠を射ていたため、そしてかつての自分と同じ志を持っていたためだ。 かつての【A5番】は『研究職』を目指し、真剣に進学しようと努力した。 けれど、結局才能の壁は厚すぎて、ささやかな努力では破れなかったのだ。 苦渋の末に選んだ『軍隊』という道を選んだ理由は、実はさきほど話した打算的なものから程遠い。 本当の理由は、如いて言えば『兵卒』が『研究職から遠い』ため。 『研究職』という未練を断ち切り、新しい進路を受け入れるためには研究と接点があっては困る――そんな事情から止むに已まれず選んだ生き方が、軍隊という進路にある。



 同期たちの会話を小耳に挟みつつ、【A4番】はぼんやり窓の外を眺めていた。 同期と違って、【A4番】には明確な進路のビジョンはない。 ただ何となく、卒業後は進学し、Bランクになってから適当な企業に勤められたらいいかな、程度の漠然としたイメージだ。 本来であれば今が進路を真剣に考える絶好の機会なんだろうけれど、どうにも気持ちが自分に向かない。 

 Bグループ生が帰ってくれば、すぐに『寮祭』が待っている。 毎年先輩が仕切ってくれたイベントで、膣の饐えた薫りや脱糞の腐臭から解放された、数少ない『まっとう』な行事だ。 忘れかけた幸福を呼び戻すためにも、たった1日のお祭りではあるが、大切に後輩へ伝えたい。 『寮祭』が終われば『寮対抗球技大会』が幕をあける。 こちらはオマンコや肛門に束縛されはするけれど、純粋かつ公平に勝負を運営できる数少ない機会だ。 各学年、また寮全体で団結するためにも、是が非でも全勝に繋げたい。 球技大会が終われば、例年であれば夏は終わる。 あっという間に2学期だ。 ただ、前々から【A4番】には夏の終わりをもっとはっきりさせたい気持ちがあって、せっかく寮長になったのだから今年くらいは夏の〆めを具現化したい。 そのためにどうすればいいか、ぼんやりしたイメージだけはあるのだが、まだ形になるまでには至っていない。 

 そんな諸々を考えていると、あっという間に時間は過ぎる。 気がつけばもう夕暮れだ。 夏の長い昼間とて、少女たちが自由を満喫するには、とうてい十分とはいえないわけで……。

 夏の、うだるように暑い、或る昼下がりの一コマである。 


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