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早春 〜誘惑のストッキング〜
【熟女/人妻 官能小説】

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第8話 切ない営みに-3

私が訪ねると、主人は渋々の表情を見せていた。
例え今は萎えていても、一度は欲求を募らせたみなぎりの証。
それを思えば、悶々とした気持ちで終わらせるには、主人も耐え難いものがあるだろう。

「でも、お前は止めるつもりなんだろう?」

「何を言ってるのよ。ただ私は、あなたに付けて欲しいだけ・・・それだけで良いのよ」

私自身も、主人の愛撫により火照った身体が疼いていた。
要するに主人の事など、ただ棚に上げただけに過ぎなかった。

「分かったよ・・・今度はお前の言う通りにするよ」

「ふふ・・・そうは言っても、このままで大丈夫なの?」

主人が萎えたままでは、コンドームの着用が困難だと言う意味合いだった。
私はそれを、場の雰囲気を和ませるように微笑みかけながら答えた。

「そ・・それは・・・・・・うっ!?」

主人は、困惑する様に言葉を詰まらせたが、それに間髪入れずに私は主人の物を触った。
不意を突かれたかの様に、主人は驚きの表情を伺わせたが、徐々にと私の手つきによってみなぎりへと誘われる。
ここで主人も察したのだろう。
私自身も潤いが渇いてる事を・・・・・・・。
主人は、手つきを私の物へと滑り込ませると、再び愛撫を繰り返した。

「はあ・・・はあ・・・・・・・」

お互いが慰め合う中、私の息を荒らす声だけが部屋中を支配する。
続けざまに、その声を封じるかのように主人は口づけも交わしてきた。
私もそれに答える様に、激しく舌を絡ませる。
お互いを感じる様に、生々しく唾液も混じり合った。

夢中で愛し合う二人・・・・・・。
そんな最中に、さりげなく枕元のコンドームを取る主人の気配を感じた。
最後に向けて、着々と準備も進んでいる。
しばらくして、透明な糸を引かせながら、主人は口づけを止めた。
そのまま愛撫も止めると、上半身だけを起こして跪いた。
私も自然と、上下していた手つきを主人の物から離す。
やがて手にしたコンドームの封を切ると、主人は手際よくスルスルと自分の物に被せて行った。

再び訪れた、お互いが繋がり合う緊張。
主人は先ほどと同じ様に、私自身を指先で開くと、自分の先端をあてがい挿入を試みた。
徐々にと感じる主人の物。
蠢く様に納まる感覚が、私の中で伝わってくる。
目を瞑れば感じ取れる、微かな凹凸。
長年に渡り、何度も受け入れた物だと、改めて確信できる。

しばらくして、お互いの茂みが微かに触れ合う感覚を感じると、私は全てが収まってる事を実感した。
私の中で感じ取れる、いきり立つ主人の物。
ここでなぜか、私は足裏で感じた彼の物を思い出しては、思わず比べていた。
どこか物足りない・・・・・・。
そう思わせるくらいに、彼の物は主人よりも優っていた

主人に愛される中、やはり頭の中を駆け巡るのは彼の事。
この時だけは、決して思い出してはいけない事だが、私は彼によって毒されていた。
一度は、主人の愛に涙はしていても、それが上辺だけである事も改めて実感した。

「あっ・・・あっ・・・・・・」

やがて、主人が両手を付いて腰つきをゆっくりと往復させると、私は小さな声で悶えた。
私の中で蠢く摩擦と供に、押し寄せてくる快楽。
これに関しても、主人が若い頃と比べると物足りなさを感じる。
性欲の衰えにより、射精のタイミングが把握できないのも、要因の一つなのだろう。
そこには、若い頃の様な突き刺すような力強さは無く、恐る恐ると往復させる主人の腰つきだけがあった。

「美和・・・・・・」

主人は私の名前を呼ぶと、腰つきを止めて口づけを交わして来た。
普段は名前で呼ぶ事は無いのだが、身体を交わす時だけは私の事を名前で呼んでいた。
主人なりに気分が高揚して、甘美な世界に浸っているのだろう。
だが、その気分とは裏腹に、まどろっこしい主人のセックスは、私自身の気持ちをしらけさせた。
主人にしてみれば、ただインターバルを置きたいだけの事。
そこに甘美な世界を見い出すなど、到底私には出来るはずもなかった。

私の思惑とすれ違う、主人の営み。
そのまどろっこしさは、まるで初体験の者を相手にしている様だった。
ならば、思い起こすのは彼の事。
きっと彼も初めてならば、今の主人の様なまどろっこしさがあるに違いない。
それは、彼を想う私にしてみれば、美しい早春にも捉えられた。


−つづく−


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