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きわめて自慰的なマゾ男の手記、あるいは散文詩
【SM 官能小説】

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きわめて自慰的なマゾ男の手記、あるいは散文詩-2


………

2017年 三月…

…ええ、私があなたの手元にある手記を書いたkikuoです。十年前、私の愛おしい女王様として
胸を締めつけられる思いで書き綴ったものです。それなのに私はあなたと一度も会うことがで
きなかった。そして、今、やっとあなたに会うことができる。私はこうしてあなたに会う前から
悦びで胸を躍らせています。今夜は、お約束どおり、あなたにご連絡を差し上げました場所で
お待ちしております。仮面をとったあなたの素顔を拝見できることを楽しみにしております。
もちろん、あなたとの素敵なプレイも…

男は手短に言うと携帯電話を切った。

高層ビルの最上階の部屋から見わたす深夜の街が、点滅する光の渦を揺らがせ、男が佇む部屋
に溢れている。静けさに充ち、粘着質の空気が青白く揺らぐSMルームには責め具といわれる
奇怪な調度品が並んでいた。

男は、その女を待っていた。十年前、彼がkikuoという名前のもうひとりの自分であった頃、
夢に見た女…。彼女は、彼の夢の中でいつも目元を覆う仮面を付けていた。

あの頃、もうひとりの自分(私はkikuoと呼んでいたが)は、その女の想いに耽り、蒼白く肉惑的
な陰影の深い翳りとなって凝縮した妖艶な女の白い裸体にペニスを堅く熱く膨らませていた。
女の湿った薄い唇、白い胸元から弓のように張りつめた、豊かな胸のふたつの隆起、蕩けるよ
うな乳肌の揺らめきと桜色に零れた乳首、情感のある熟れた腰まわりの肉づきとしなやかな稜
線、起伏のある腹部に拡がる光沢のある柔肌のぬめり、深く切れ込んだ翳りを含んだ厚みのあ
る肉質の双臀、威圧的な太腿から優雅に伸び切った美しい脚…女の輪郭のすべてが彼の情欲を
昂ぶらせ、飢えさせるというのに女の容姿のすべてが彼に禁欲的な性を迫っていた。

女は鞭を手にするミストレスだった。あらゆるプレイを自在にこなし、男の自尊心をなじり、
男を侮蔑し、男の精神と肉体を冷ややかな息づかいで嬲りあげ、精神的な苦痛という情欲に
よって男を悦びに伏せさせることのできる艶めかしい冷酷さを装った女…。

あの頃、女はSMクラブの専属ミストレスではなく、会員制高級倶楽部の秘密会員だけが呼ぶ
ことができるコールガールだった。彼女だけに似つかわしい優雅な淫らさを纏い、男を魅了し、
虜にする禁断の果実のような甘い匂いを漂うわせる女…。女の顔を知る者は少なかった。もち
ろん彼は女に会ったことはなかった。それなのに女は彼の夢に現れた。それが夢であったとし
ても、《もうひとりの自分》の精液の源は毒々しく泡立ち、熱い飛沫となって股間を白く濡ら
した。

その女が、今夜ここにやってくる…。Kikuoという男を求めて。

ただ、あの頃と違うのは、男がkikuoではないということ。彼がここで女に服従するのではなく、
女が彼に服従するためだった。女はそのことを知らずにここにやってくる。


男は薄い笑みを青白い光の中に淫猥に浮かべた…。



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