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二人の外道2
【鬼畜 官能小説】

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始まり A:1-4

「あーヤバかった。Aさん、エッチ上手だね」
 すでに身なりを整えてズボンにYシャツ、ネクタイまで締め終わっているAに少女は幼児のように甘えて抱き付いた。それに応えるようにAのほうも腕をそっと回して軽く抱きしめる。腕時計が食い込まないよう、左手首を右手首に重ね合わせて気を使ってやる。
「エリちゃんも、その、あれだ、気持ちよかった」
「えへへ、嬉しいっ」
 少女はAに軽く唇にキスをする。Aはまた優しく微笑んだが、一切股間には響いてこなかった。
「ねえ、私なにか変なこと言ってなかった?」
「ん? いや、まあ喘ぎ声はすごかったけど」
「そう。なんでもない、なんか恥ずかしくなって変なこと聞いちゃった」
「俺は気にしてないよ。時間、そろそろ出なきゃ」
 ホテルのチェックアウト時間が近づいていた。精算機に一万円札を入れるAの後姿を見ながら、少女は胸を撫で下ろしていた。
「んじゃ、これ」
 外へ出るとすぐに少女に現金を手渡す。ホテル代五千円に、彼女への代金が二万円、さらにホテル代の釣りでできた五千円札も付け加えてやった。少女は先ほど部屋で褒めた時よりも数段嬉しそうだった。
「ねえ、連絡先交換してくれない?」
 Aはそっと吹っ掛ける。だいたい気分がいい時の人間は他人の頼みを断れない。クスリで頭が沸いているならなおさらだ。
「うん、いいよ。ラインでいいよね」

 呼び出し音でBは寝かけていたベッドから半身を起こし、忠実に主人を呼ぶスマホを手に取った。そのタイミングの悪い電話の通知画面には見知った人物の名前が表示されていた。
「あーオレオレ」
「なんだオレオレ詐欺か、他を当たることだな」
「わー違う違う! AだよA! お前の大親友のA!」
「知らんな、アルファベット一文字の友人なんか俺にいないぞ」
「それぎめいー! 俺の本名知ってるでしょ! てか君もBって名乗るじゃん!」
 眠りに落ちる半ばで覚醒させられた恨みを少しはらしてやった。
「わかった、わかった。で何の用だ? 大体察しは付くが聞いてやろう」
 こいつが電話をわざわざ掛けてくる内容と言えば、次の“標的”に関することだろう。
「次さー、なんかいいの見つけたんだけど」
 そらビンゴだ。当たったところで嬉しくもないが。
「次は姉妹を標的にって言ってただろ。もう何組か絞り込んだところだし、もう計画の変更なんか無理だぞ。というかしたくない」
「うええー姉妹やだー、ヤク中バカ女嬲りたい―っ、危ないお薬打ちまくって頭おかしくさせたいーっ」
「なんだそりゃ、お前はドラッグ嫌いだったろ」
 次の標的はどこかの姉妹をさらって嬲る計画だった。今更計画の変更と言うのはせっかく集めた情報も無駄になるし、そもそもそのヤク中バカ女というのがよく理解できない。
「いやそれがさ、ついさっき援交に引っ掛かってさ」
 疑問符を浮かべているBに、Aは電話口の向こうから満足げに事の顛末を簡潔に報告した。BはAの話に感銘を受けたりなどしなかったが、少なからず関心は持てた。なにより、その少女が薬物中毒らしいところに、彼の裏面が純然たる興味を抱き、正義派の表面が反社会的集団への制裁を唱えていた。
「わかった折れるよ。次はそれでいこう」
「話の分かる友達をもって幸せ―! Bくんやさしー」
「おう、たださっきのふざけた口調が腹立ったからケツバット一回な」
「うおっ!? それ絶対痛いやつ!」
「おやすみー」
 Bは軽いため息をついて電話を切った。完全に目が冴えてしまったな、今から寝られるだろうか。彼はまた軽いため息をついてから、布団に包まった。
 やはり寝付くまでに時間が掛かり、彼は若干寝不足で明日の朝を迎えるはめになったのであった。


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