〈孤立工作〉-2
『もしかして、無料でアイドルを姦せるとでも?でも、まさか警察に訴えたりってのは無理ですよねえ?『女の子をレイプしたら高額な金品を要求された』なんて言えるワケが無い……それに刑務所にブチ込まれたって、そこには私の“知り合い”がたくさん居ますよ?ウフフフフ』
『そ…れは………』
至福から奈落へ……逃げ場を失ったオヤジは、袋のネズミ状態となって震えるのみ……第三者に訴える事も出来ず、この人垣を突き破れもせず……加害者から一転、被害者という立場に陥ったオヤジだが、まさか同情するような者など一人として居るまい……。
『まあ、私も鬼じゃないですから直ぐに払えとは言いません。コイツらの下で働いて、コツコツと返済して貰いますよ。勿論、全額支払い終えるまでは無給(無休)でね』
『う…ッ……』
『立てよコラ。いい歳コイて泣いてんじゃねえよ』
『スカトロプレイの終わった部屋の掃除があるんだよ。オマエ一人に任せっから、綺麗にするまで出てくんじゃねえぞ』
両腕を抱えられ、泣きべそをかいた小肥りオヤジは引き摺られていった。
引っ詰め髪の男は鼻を鳴らして笑うと、ゆるりと天井を見上げた……。
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『ププッ…どんどん亜季ちゃんは可愛くなってくなあ……ププププッ!』
長髪男は部屋から出た。
ずっと“まぐわい”を強要され続け、失神するように眠ってしまった亜季を休ませる為にだ。
……と、あの白いジャージを着る強面の部下が、小脇に小さなクーラーボックスを抱えて小走りで駆け寄ってきた。
何事かと見遣る長髪男の傍で立ち止まった部下は、少し緊張した面持ちでペコリと頭を下げた。
『先生、お疲れ様です』
部下は長髪男を〈先生〉と呼びながら、冷えた缶ビールを差し出した。
その銘柄は、ここに来た時に三人で乾杯したのと同じ物だった。
『可愛らしい妹さんとお楽しみになって、喉が渇いてないっスか?コレどうぞ』
『……飲んでいいの?じゃあ遠慮なく』
一汗かいた後のビールは喉ごしも爽やかで、適度な苦味もまた格別。
それに先生などと持ち上げられての献上品なのだから、不満などあろうはずがない。