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夢姫伝説
【SF 官能小説】

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第4話-3

「そうでしたか、実に興味深い話ですね…もし、他に何か面白い情報があったら聞かせて頂きたいですね。今日はこれで失礼させて頂きます」

キクチが退席すると2人も、退出される事となり、そのまま工場の敷地へと出る事になった。


2人の記者達の行動を室内から眺めていた人物がいた。

「ヤレヤレ…追い出す事には成功した様だなキクチ君は…」

そう言って、ノックして「失礼します」と、言って会長室に入って来たのはキクチとミヤギだった。

「会長…マスコミは、大分嗅ぎつけていますね…」
記者達と相手をしたキクチが言う。

「放っておけば、そのうち他へ興味を持って行くであろう」
会長は、椅子に座って言う。

「ミマツ・カンパニーのアンドロイドの出馬表明で、多少風向きが変わると思っていたが、意外に動きがある様でしたね」
ミヤギが言う。

「ミヤギ君、直接オダ・シンと接触して、彼からアリサを引き離す方法は無いのかね?」

「まず、不可能と言えます。我々が動けば、アリサは必ず先手を打って来ます。既に我が社は、その被害に会って居るでは無いですか?捜索中止も、その理由の一つでしょう…」

全員はしばらく沈黙をした。

「我が社のアンドロイドを使って、アリサとオダ・シンを引き離す事は出来ないだろうか?」
キクチが渋った表情で言う。

「まず無理だと思います。例え高性能なアンドロイド数体派遣しても、彼女に近付けば簡単にOSを書き換えられます。実際私自身それを目の当たりにしました」

ミヤギは少し恥ずかしそうに言う。

「では…ミヤギ君は、我々はこのまま指を咥えて彼等のやり方を見ていろ…と、言いたいのかね?」

「そうは申し上げませんが、彼女の行動を防ぐ方法として…どうしてもある決断が必要です」

「それは一体…?」
2人の視線がミヤギに注がれる中、少し沈黙してミヤギが発言する。

「私が、この会社を辞職する事です」

〜数日後…

ミマツ・カンパニー。タナカ・コーポレーションと並んで国内屈指のアンドロイド製造業である。決まった年間生産台数しか製造しないタナカ・コーポレーションとは違って、要望次第で常に売り上げを伸ばすミマツ・カンパニーは、そのシェアを幅広く伸ばしていた。
2つのアンドロイドの製造業の大きな違いは…常に完璧さを重視しているタナカ・コーポレーションとは相反してミマツ・カンパニーのアンドロイドは、やや欠点が多い。アンドロイド1体に付き1500万円以上〜3000万円以上もするタナカ・コーポレーションに対して、ミマツ・カンパニーは用途次第で1000万円以下からの購入が可能と言うのも大きな魅力の1つであった。
そのミマツ・カンパニーの本社施設の入り口に、ある1人の男性の姿があった。

白く大きな建物の本社、そこに隣接する様に広く連なる工場の敷地内。本社ビルは、工場の敷地を通過した先にあり、男性は案内役の人に付き添って歩いて、目の前に聳え立つ本社へと向かう。
本社内へと入ると建物の中は、広く綺麗だった。アンドロイドを製造している…と言わなければ一般的なオフィスビルと見間違えてしまう程だった。
男性は受付のモニターディスプレイの前に立った。画面は工場に関する映像が映り変わっている。画面をジェスチャーすると映像は受付のキーコードへと変わり、何通りもあるコードの表示の中から1つ選び、WBの画面を開いて専用のコードを入力した。しばらくして、目の前のエレベーターから女性社員が現れた。

「こんにちは。ようこそミヤギさん」

「こんにちは。お久しぶりだねカオル」

「まさか、貴方が本当にタナカ・コーポレーションを辞めるなんて想像もして無かったわ」

「今、起きている事態が事態なだけに、急を要する事なんだ」

「で…こちらに協力を求めて来たのね…」

「僕の記憶が確かなら、タナカ・コーポレーションが製作したLコアSの1つは、ミマツ・カンパニーにある筈だと思ってね」

ミヤギは、これまでの一連の事態をカオルに話す。

「なるほどね…そう言う事なんだ。ただ…アリサ…ジュリって言うアンドロイドの性能が、どの程度なのかも知りたいから、一度電話で話をしても良いかしら?」
「構わないけど…僕は、あまりオススメしないね。以前、電話して気を落とした人がいるから…」

少し前に電話したルカと言う女性の事を思い出した。アリサとの電話で気を落としたルカは、その後会社を辞めてしまった。小耳に挟んだ情報だと彼女は立ち直れず結局…実家に帰ったとの事だった。

「アンドロイドの処へ電話するよりも、まず先に僕を研究課課長の処へ案内してくれると嬉しいのだけど…」

「分かったわ…じゃあ、車に乗って行きましょうか」

2人は工場内専用のコンパクトEVカーに乗って移動をする。
工場内を車で通過する時、ミヤギは工場の中を眺めていた。最新式の設備が整っていて、更に工場と言う雰囲気を全く感じさせない施設の中は、知らない人が見たら公共施設と錯覚してしまうと思った。

「それにしても、貴方がウチへ来る程って事は…かなりの高性能なのねアリサって言うアンドロイドは…。少し前にユリナちゃんが、工場に来て特殊部隊の要請もしてたけど…それでもダメなわけなの?」

「ジュリを前にしたら、多分…誰も勝てないと思う。それよりもまず、同じ性能のアンドロイドを派遣させて見る方が少しは、相手の動きを鈍らせる事が可能と思ったんだ」

「それでウチに来たのね…なるほど。ところでジュリってアリサの事?」

「ああ…今はジュリって言う名前なんだ…とても高性能だよ。機能停止させてしまうには惜しいくらいだけど…」


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