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S・S lover
【悲恋 恋愛小説】

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S・S lover-1

――雨が一定のリズムでアスファルトを打っている。厚い雲で覆われた空から降る雨はしばらく止まないだろう。詩織は酒を飲みながら窓の外に広がる高層ビルの群れを指に光る指輪と共にぼーっと眺めながら誠也の事を思い出していた。あの日もこんな天気だった。
空も詩織も泣いていた‥‥。


「誠也!」
公園のベンチに座っていた誠也に後ろから元気良く声をかける詩織。
「もう〜、いつもいつも後ろから来て驚かせてさ〜、まともに前から来れないの?」
誠也は呆れたような口調で言っているが、表情はやわらかい。詩織が誠也の横に座ると持ってきた紙袋を取り出して
「じゃ〜ん!今日はお弁当を作ってきました〜!」
詩織は満面の笑みで誠也に弁当箱を見せた。
「へぇ〜!すごいじゃん!頑張ったんだね!」
誠也が誉めると詩織は更に嬉しそうな笑顔になった。
二人で詩織の作ってきた弁当を食べてしばらくしてから遊園地に行って遊び、夜はホテルのレストランで食事をした後、2人はバーでお酒を呑んでいた。
「ねえ、来週私の誕生日だよ!ちゃんと覚えてる!?」
詩織はカルアミルクを飲みながら誠也を見ながら尋ねた。
「もちろん覚えてるよ!俺達が付き合いだして一周年記念日にもなるしね!」
飲んでいたグラスの氷がカラン、と音を奏でて誠也はグラスをカウンターに置いた。
「何をしてくれるのか楽しみだなぁ〜!」
と、詩織はわざといじわるな声で誠也の顔を見ながら言った。
「まぁ準備はしてるけど、今は内緒!お楽しみだね!」
と、誠也は軽く笑ってみせた。

2人はしばらくバーでお酒を楽しみ、程よく時間が経ってからタクシーを呼び、誠也は詩織を家まで送っていってお互いの家に帰った。

《Trrr…。Trrr…。》
詩織の携帯が机の上で鳴りだした。
「はい、もしもし?あ、誠也!うん、今準備してるよ!うん、あと10分くらいしたら出る!うん、じゃあね!」
今日は詩織の誕生日でもあり二人の一周年記念日でもあった。詩織はいつものデートよりも特別お洒落をしていた。
「誠也、何て言ってくれるかな〜?」
詩織は不安そうに全身鏡の前で自分自身をチェックして家を出た。

「ごめ〜ん!待った?」
慌てて走ってきた詩織は息を切らしながら誠也に謝った。
「別にいいよ!俺も今来たトコだし。それにせっかくお洒落して可愛くなってるのにそんなに走って来たら台無しだよ。」
「え!?」
急に誠也に誉められたので詩織は息を切らしながら顔を赤らめた。
「さて、行こうか!」
誠也は詩織の手を取り歩きだした。今日は詩織の誕生日で2人の記念日という事で、近くの高級レストランで食事をする事になっていた。
「いらっしゃいませ。」
店のスタッフの人がお辞儀をして2人に歩み寄ってきた。
「予約しておいた清水です。」
「清水様ですね。こちらへどうぞ。」
スタッフの人が2人をテーブルまで案内して、2人は向かい合って座った。
ここは夜景が一望できてシェフの腕前も評判があり有名な店であった。世に言う3つ星レストランである。
「へぇ〜、よくこんなお店予約できたね〜!」
詩織がレストラン内を見渡して誠也に言った。
「まぁ2人の記念日なんだからこれくらいはね!」
詩織の嬉しそうな笑顔を見て誠也も笑顔で答えた。
2人はコース料理を楽しみ、食後にワインを飲みながら楽しくこの1年間の事を思い出しあった。
夏、海に行って花火をしたこと。秋、2人で京都に旅行に行ったこと。冬、クリスマスに夜景の綺麗な所にドライブに行ったこと。そして春になり、2人で夜桜を見に行ったこと。どれも2人にとって大切な思い出だった。

思い出話も終わりかけた頃、誠也が改まった口調で詩織に話し掛けた。
「詩織。真剣に聞いてほしいんだけど、俺達付き合いだしてもう1年になるよね。それで将来の事も真剣に考えて…」
誠也がカバンから何かを取り出した。詩織は真剣な顔つきの誠也を見るのが久しぶりだったので少し戸惑い気味だった。


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