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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第6話『ハイ・グレ・ルーガ』-2

 月曜日は1時限目の道徳がいつも通りの『2ch』だった。 『ハイ・グレ・ルーガ』といって、よく意味が分からない番組だ。 一応『お笑い』要素があるらしく、男子はほとんど全員が大笑いしていて、女子も半分くらいが笑っていた。 あたしは全然面白くないし、むしろ笑ってるクラスメイトが気持ち悪い。 同年代のハイレグ水着は子供が大人ぶってるみたいで不細工だし、年頃でスタイルがいい女の人のハイレグはあざとすぎてムカムカする。 一番性質(たち)が悪いのは、明らかに30代後半のハイレグ水着だ。 痛々しいというか、やり過ぎというか……そういうことをしちゃいけない年代にも『2ch』は容赦しない。 そういう時ほどクラスメイトは爆笑するんだけど、逆に考えたら、あたし達がおばさんに将来なったときにもハイレグ水着を穿かされるわけで……やっぱりあたしは、これっぽっちも笑えない。

 この日記は備忘録だから、嫌だけど、新しい法律もメモしておく。 『女性専用乗車法』といって、100名を超える乗客が発生する乗り物には必ず『女性専用スペース』を作るよう定められた。 『女性専用車両』は今までにもあった。 女性からの『痴漢などを避けるため、安全に乗車できる空間が欲しい』という要望で生まれたらしく、複数車両の電車ではたいてい1両が『女性専用』になっている。 今回の法律は、この『女性専用車両』を規模が大きい乗り物すべてに義務づけるものといっていい。 ただし『女性専用車両』に乗る場合、女性は必ず自分が『女性』なことを証明しなくちゃいけなくて、その方法が例によって恥ずかしいわけで……そんなことなら『女性専用車両』になんて、乗らない方がよっぽどマシだ。  

 毎日毎日新しい法律が増えていくから、だんだん神経が麻痺してきたみたいだ。 昔なら1つ1つの法律に対して、今よりずっと腹を立てていた。 頭にきて、イライラして、物に八つ当たりするのが当たり前だった。 クラスメイトと『どうやったら法律の抜け穴をつけるか』『法律のギリギリのラインを破るには』みたいな話題で盛り上がるのが常だった。 でも、最近はそういうのも疲れちゃって、考えるのがイヤになってる。 考えても疲れるだけだから、黙って言うことを聞いておいて、なるべく考えないようにしてる。 そんな自分でいいのかっていうと、そういうわけじゃないんだけど……でも、ずっと戦い続けられるほど強い人なんて、世界にどのくらいいるんだろう? いたとしてもごく一握りじゃないだろうか? 少なくともあたしはに関しては、その1握りには入れそうにない。



 ……。



『ハイ・グレ・ルーガ』


 番組冒頭では、各家庭や更衣室に設置されたCCカメラによって捉えられた『不正更衣』が流れる。 例えば更衣室で水着に着替える女性が『ハイグレ! ハイグレ!』と叫ぶべきところを小声で誤魔化したり。 試着室でスカートを穿こうする女性がが、本来『腰を落し、足を拡げて』試着すべきところを、試着室のカーテンから足がはみ出るのを恐れて内股になって更衣したり。 或は結婚式の衣装替えでウェディングドレスからイブニングドレスに代わる際に、股間の食い込みを『Vの字』で強調する動作を怠ったり。 どれにしても『これくらいは大丈夫だろう』という安易な発想に基づく、些細といえば些細な違反だ。 けれど軍紀並に規律が重視されるようになってしまった現在、どんな些細な違反だろうと、違反は違反。 バレた場合は一様に検挙され、強制的に番組出演しの運びとなる。 やはり番組には矯正プログラムの側面が期待されていて、番組を通じて『きちんとハイグレ更衣』が出来るようになる、という寸法だ。

 番組の尺は通常番組の半分。 『ハイグレ人間アワー』という、ハイレグに身を包んだ女性のみが登場する不条理フィルム、『ハイグレアネキ』という日常風景にハイレグ女性が登場するシュールフィルムが、交互に流れる。



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