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紅い色
【ファンタジー 恋愛小説】

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紅い色-1

〜サツリクノハテ〜

ビチャッ…
ニチャ…

「あ…あぁぁぁ…」
ベキャッ…ミシミシ…次々と目の前で灯が消えていく。
ギースの目の前でずっと、一緒だった家族が友人が次々と…
「ぁあああああ!」
ギースの叫び声が響いていた。



「あは…あははははははは!」
ギースは甲高い笑い声と共に1人紅い海に立っていた。


十数年後…


ギースは傭兵となっていた。
黒のコートを羽織り、フードを目深に被り暗くならなければ戦いに参加しない。
大鎌を片手で軽く持ち敵味方関係無く次々と仕留めて行くその姿はまさに死神…
ギウスは戦場で執行人と呼ばれ敵味方関係無く恐れられていた。
あの日からギウスの心は閉ざされている。
人との関わりを拒み一人だけで生きて行くと誓ったあの日から。

鬱蒼と木々が生い茂る森の中にギースはいた。
彼の周りには動物達が大人しく寄添ったり眠ったりしている。
その中には人ではない少女の姿があった。
「ギースさん…」
『………なんだ』
淡々としたギースの口調だが、きちんと感情は入っている。
「今日も行くんですか?いい加減、人でいるの辞めませんか?」
彼女はあの日ギースの前に現れ、自分を死神と名乗る少女…名前はない。
『俺の事は俺が決める』
「解りましたもうギースさんに任せます」
そう言うと彼女は目を閉じた。
「帰って来て下さいね…」
その声はギースに届いていない…



夜の戦場は執行人の庭と言われている。
ギースの事なのだが、ギース本人は知らない。
「にげっ……」
また一人の灯が消えた。
「殺れ!撃てぇ!」
数十の矢がギウスに飛んで行くが、全てさばく。
また一つまた一つと灯が消えて行った。
『まただ…ヤッパリ意味が無い…罪が増えるだけだ…』
そう言いながらギースは戻って行った。




『なぁ俺…死にたい』
「な!何を言ってるんですか?」
『俺なんてもう罪を犯すだけだ…』
「だからって…」
『俺を愛してくれる者も母も父もいない…友もいない…悲しむ奴なんて…』
「…ぃ…ょ」
ポソっと少女は言った。
だがその声が聞こえるほど落ち着いては居ないギースは無視して続けた。


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