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離婚夫婦
【熟女/人妻 官能小説】

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グッドモーニング-1

 望未は尿意を催して目が覚めた。
 枕元の時計を見ると、もうすぐ5時になろうとしていた。カーテンをずらし、外を見ると、まだ夜明け前。ようやく空が白け始めてきている。
 ベッドには豊川が寝ている。昨晩の情事は、22時から1時間程度だったであろうから、6時間ぐらいは眠り続けていたことになる。
 シングルマザーとしての多忙な日々、父の死などで心底疲れていたのだろう。そこにきて、久しぶりのSEXを堪能し、心もカラダも満足したから、ぐっすりと眠ってしまった。
 ここまでの快眠はいつ以来だったか。思い出すことも出来ないぐらい前だったように思う。
(やっぱり支えてもらう人は必要なのかしら・・・・・・?)
 自分ひとりだって出来る。今はどの世界だって女性進出が華々しい時代だし、シングルマザーで奮闘している人も一杯いる。旦那がいなくたって、充実した生活は出来るはず。
 何かあれば、和真を頼ればいいのだし、何とでもなる。いや、何とかする。そう思い勇んで菜緒を引き取った。
 その考えが甘かったことを、今痛感している。
 自分が思っている以上に、自分自身が未熟で、力もない。頼れるべき人間がいて初めて成り立つものだと気付かされた。
 昨日はSEXに夢中になり、会話らしい会話もなくそのまま眠り込んでしまった。今日は、自分の考えてることをしっかりと伝えなければならないと、望未は思っていた。

 トイレから戻ると、ベッドの上の豊川がもぞもぞしている。彼もそろそろ起きるかもしれない。
 ベッドに腰を掛け、豊川を見つめていると、豊川がゆっくりと目を開けた。
「おはよう」
 普通でありきたりのない日常のワンシーンだが、望未はこの一言を発するのにも相当の勇気が必要だった。
「ああ、おはよう」
 寝惚け声だがしっかりと応えてくれた。
「ごめんな」
 今度は豊川の方から言葉を掛けた。
 昨晩、最終的には互いに盛り上がり、久しぶりに気持ちのイイSEXをしたと思っている。しかし、そのプロセス、特にとっかかりの部分は、豊川の半ば強引な手引きによるものだと感じていたから、謝罪の言葉のタイミングを伺っていたのだった。
「え!どうして?」
 望未は不思議がった。
 確かに、足を挫くまでは、話をしなくてはと思っていたけれど、まさかそのままカラダの関係が復活するとは思っていなかった。それでも、抱きしめられ、唇を奪われた時には、最後まで行くことに何の躊躇もなかったのだから、謝られる筋合いはないと思っている。
 けれども豊川自身は、そうは思っていない節がある。
「いや、無理矢理しちゃったから・・・・・・」
 やはり負い目を感じているようだ。
「うん・・・・・・。でも、私は無理矢理抱かれたなんて、思っていないよ。逆に、私が引きずり込んだんじゃないかなぁ、なんて思ってるし」
 望未は、最後のチャンスだと思い、自分の思いのたけをぶちまけようと思っていた。
「姉さんに、晃ちゃんに送ってもらえって言われた時、本当はやったぁと思ったの」
 望未の告白に、豊川は驚いた。メールやラインでのやり取りは、言ってみれば業務連絡の様なもので、そこに関わる感情何て一切なかったと思っていた。それだけに、自分に対しては、マイナスの感情はあったとしても、プラスの感情何てあるはずもないと疑わなかった。
 それが・・・・・・まさかの言葉である。
「俺も、もしかしたら何かのキッカケになるんじゃないかと、密かに期待していたのかもしれないな」
「期待って?」
「仲直りとまではいかないけど、菜緒のためにも少しはいい方向に向かえればなってね」
「それなのに、むっつりと黙り込んで受付けようともしなかったんだね。私は」
「やっぱり無理だって思ったよ。歩きながら、嫌な沈黙だった」
「でも、私も期待していた」
「いいじゃないか。どうあれ、今こうして流れが変わり始めたんだから。そう思わない?」
「そうだね。もっと早く素直になれてたらな」
 二人は顔を見合わせて笑った。

「あの時のことは、今でも一言一句憶えているよ」
 豊川は、別れの直接的な原因になった一言を、忘れることはなかった。
「何て言われたんだっけ?憶えて無いなぁ。でも、かなりカチンとしたことは確かよ」
 確かにあの時は、双方感情的な言い争いになったことは憶えている。だが、その一言自体は望未の記憶に残っていなかった。
 厳しい一言だったことは容易に推測できる。ただ、あのテンションの中では、もう何が何だかわからない状況になっていて、自分の心に蓄積した夫への鬱憤やら憎悪やらを吐き出すことしか頭になかったのだから、豊川の発した言葉にまで気が回らなかった。
「で、何て言ったの?」
 今更聞く必要はないのかもしれないが、今だったら笑って受け流せる自信も、望未にはあった。
「いやぁ、いいよ。二度と望未に対してあんな言葉は言えないよ」
「いいわよ、別に。今の私たちは単なる他人なんだから、そんなの気に何てしないわ」
 望未は、言った瞬間しまったと思った。またやってしまった。こういう憎まれ口を叩くから、諍い事に発展してしまうのだ。自分で自分を戒めなければいけないと思っているそばからこれだ。
「ごめんなさい。そういう意味じゃなくて」
 半ば呆れた口調で、元夫に謝った。
「ああ、そういうことね。大丈夫だよ、そうやって10年以上一緒に暮らしてきたんだから」
 豊川は、笑って一蹴してくれた。
「気を付けようと思ってるんだけど・・・・・・」
「そんな、気にする事なんかないさ。そういう性格含めて、望未のことを受止められるのは俺ぐらいしかいないのかもしれないな」
「!?」
 思いがけない豊川の言葉に、望未はどう受け取ればよいのか迷った。
 復縁を期待していると、受け取ってもいいのだろうか。


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