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大沢商事の地下室
【SM 官能小説】

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知子〜エピローグ-1

 知子はその後、職場で問題を起こすことなく地道に働いている。
 元より優秀な女性なのだが、問題を起こしては徐々に小さな職場に替わって来ていたので、今勤めている程度の会社なら普通では得がたいほどに優秀な人材なのだ。
 それでもむしろ忌憚のない人間関係が気に入っていて、不満なく勤めている、給料も良いとは言えないが、つつましく暮らすには充分、地味ながら満ち足りた暮らしを送っている。
 しかし知子にはひとつだけ心残りがある。
 井上だ。
 彼に抱きかかえてもらっていた時の心地良さもさることながら、あの快感の嵐の中で逞しい井上に貫かれていたらどうなっていただろうと思うと、それだけで濡れてしまい、想像すると気が遠くなりそうな感覚に囚われる。
 
「あら……もしかして知子ちゃん? 見違えたわ」
 知子は里子のクラブに来ている、ボックスを回っている里子が目ざとく見つけてくれた。
 里子が見違えたと言うのも不思議はない、ひっつめにしていた髪は真ん中分けにして下し、コンタクトにしたようで眼鏡もかけていない……ごく控え目にだが化粧もしている、そして何より違うのは表情が格段に柔らかくなったことだ。
「良くここがわかったわね」
「門村さんに教えてもらいました」
「そう、女性が一人で来るなんて勇気が必要だったでしょう?」
「ええ……ちょっと」
「遊びに来たわけじゃないわよね、何か用事なの?」
「あの……あの時1時間も抱いていてくださったと言う方に……」
「井上君ね、今呼ぶからちょっと待ってて」
 ほどなく里子と井上が一緒にやって来た。
「彼女、あなたを訪ねて来たのよ」
「それは光栄ですね、でもどうして俺を?」
「その……忘れられなくて……」
「でもあの時は俺、力仕事しかしてなかったけど……」
「ほら、終わった後よ、1時間も抱っこしてたじゃない」
「ああ、そういえば……」
「あの時はありがとうございました」
「その為にわざわざ?」
「いえ……あの時、もしあなたに 挿入れられてたらと思うと……」
「ああ……そういうこと……」
「お店の娘じゃないから別に構わないわよ、井上君、強要もしないけどね、要は自由意志ってこと……あたしはショーの準備あるので二人で話してね、じゃ、ごゆっくり」


 ショーの後、里子が客席に戻ると、知子はまだそこにいた。
「知子ちゃん、ショー見ててくれたんだ、でもぬるいショーでしょう?」
「いえ、そんなことは……」
「わかってるのよ、風営法の縛りもあるけどね……さっきの娘は売れっ子ホステスなのよ、立場は安泰だと思ってるもんだからあれは嫌これも嫌ばっかりで……自分のお客さんにヌードのサービスぐらいのつもりなんだから参るわ」
「あの……私では?」
「え?」
「ホステスでなくてもショーにだけ出られますか?」
「出てくれるの? それならありがたいわ、今の知子ちゃんならホステスにもスカウトしたいけど」
「今の職場、気に入ってるものですから……」
「それならそれでいいの、ありがとう、ギャラの話は明日でいい?」
「ええ、別にお金目的じゃないですから……それとさっき井上さんとお話したんですけど」
「ええ、どういう話?」
「向うのショーなんですけど……ぜひ井上さんを交えてもう一度……」
「嬉しいことが重なるわね、でも彼のって破格のサイズだけど大丈夫?」
「正直、あんな大きいものを受け入れたことはないですけど、ゾクゾクしちゃって……」
「彼と個人的なお付き合いをしたいのかと思ってたわ」
「いえ……素敵ですけど、あの狂乱の中でぜひ……」
「そうなのね、良いわよたっぷり味あわせてあげるから」
「ありがとうございます……」
「それにしても変わったのね……」
「目が覚めた感じです……」
「それだけじゃなくて、可愛くなったわ」
「そんな、私なんて……」
「ううん、ギスギスしたところがなくなって丸くなった感じ……この店でもすぐにスターになるわ、きっと……」


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