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大沢商事の地下室
【SM 官能小説】

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美喜子のショー-1

「あんたが里子さんね、ヨロシク」
 日曜日、地下室にやって来た美喜子は横柄な態度で挨拶する。
 いまや珍しくなったギャル風、びっくりするほどには黒くないだけで化粧も往年の『ヤマンバ』の名残をとどめる派手、というより異様なもの、肉付きの良い体は手足も太め、あまりスタイルが良いとはいえないのだが堂々と露出度の高いキャミとお尻がはみ出そうなデニムのショートパンツに身を包んでいる、恐らくは当時はバリバリのヤマンバだったのだろう。
「あんたは? 誰?」
「幸恵です、お手伝いに」
「ふうん……お手伝いね……そう、ヨロシク」
「着替えをしてもらえます? カーテンの陰に衣装を用意してありますから」
「衣装? これじゃだめなの?」
「破いたりするかもしれないですから」
「そうなの? ふうん……どうせすぐ脱いじゃうんだから何でもいいのにね」

 美喜子がカーテンの陰に消えると里子が小さな声で言う。
「幸恵ちゃん……何、あれ?」
「何って、私も今日初めて会いました」
「気に入らないわね」
「私だって……」
「男ってしょうがないわね、あんなのでも人気NO.1だって?」
「とにかく何度もさせてくれるそうですから」
「まったく……穴さえあれば良いのかしらね……」
「里子さんがそういうこと言うなんて……」
「私だって女よ、ああいうイカれたのが男に人気だなんて……面白くないわ、ウチなら即刻クビね」
「ええ、気持ちはわかりますけど、抑えて抑えて……」

「なによ、これ、こんなダサいの着るわけぇ?」

 カーテンの陰から品のない声がする。
「もう、あったま来た……容赦しないから」
「うわ、里子さんが怒った……彼女生きて帰れるかしら」
「殺しはしないわよ、性根を叩き直すだけ」
「わ、リアルで逆に怖い……」

「チャイナはいいんだけどさ、この生地、薄っぺらなナイロンよね、チャイナったらシルクでしょう?」
「どうせ破くんだからいいの」
「嫌、こんなの着ない、裸でいいじゃん裸で」
「服を破くのも演出、黙って着なさい」
「嫌……あんたのそれ、いいじゃん、ボンデージって言うの? なんかロックっぽくて」
「これは責め手の衣装よ」
「ズルいなぁ……あたしはとにかくこのチャイナはNGだからね」
「いいわよ、それじゃタオルを貸してあげるからそれを巻いて出なさい」
「バスタオル? いいよ、それで、手っ取り早くていいじゃん、色っぽいしさ、どこにあんの?」
「幸恵ちゃん出してあげて」
「はい」
「幸恵ちゃ〜ん、さっさと出して〜」
「あなたがちゃん付けで呼ぶことはないの」
「いいじゃん、同い年位じゃない?」
「そうかもしれないけど初対面よ、それに私はずっと年上、もう少し丁寧に口を利いたらどうなの?」
「いいじゃん、主役はあたしでしょ?」
「何を言っても無駄みたいね……ああ、ありがとう……さっさと服脱いでこれを巻いておきなさい」
「年上だからっていちいち命令口調で気に障るなぁ……わかったよ、そうするからあーだこーだ言わないでよ、ムカツクから」

「ムカツクのはこっちよ……見てらっしゃい」
 美喜子がカーテンの陰に入るのを見送りながら里子が呟いた。


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