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大沢商事の地下室
【SM 官能小説】

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廃屋で-1

 日曜日、快晴とは行かなかったが薄日が差すまずまずの天気、待ち合わせ場所に幸恵が運転する車が滑り込んできた、助手席に大沢が座っている。
「待たせたかね?」
「いえ、時間通りですわ」
 車に里子と井上が乗り込もうとする。
「あの、運転、代わって頂けますか?」
 井上が黙って頷く。
「ドキドキしちゃって……なんとなく運転が上の空なんです」
 

「会社の方に怪しまれませんでした?」
「わしが急にどこそこへ行く、と言い出すのは珍しくないからな、それにその都度女子事務員に運転してもらうのもいつものことだ、男どもにはそれぞれ走り回ってもらわんといかんし、どうせドライブするなら女性との方がいいからな」
「まあ、エッチな社長」
「おいおい、わしだってそれ位はわきまえておるよ、まあ、帰りにメシを奢るくらいはするがね」
「ええ、そうなんです、ですから社長のお供は女子事務員の中でも役得みたいに言われてます」
 幸恵がにっこり笑って言う、運転から解放されて少し気分がほぐれているようだ。
「そうなんだ、でも社長がエッチだって知れ渡ってるんじゃない?」
「それはそうなんですけど、誰ひとりセクハラには会ってませんし……エッチな冗談が多いのは有名ですけど、カラッとしてますし、それが不快だと言う人はいないんです、むっつり助平よりはずっといいでしょう?」
「わしはもう涸れてると思われてるらしい、ばっちり現役のつもりなんだがな」
 大沢が悪戯っぽく笑う。
 
 車が高速を降り、山道に差し掛かると幸恵の表情がまたこわばりだす。
「そんなに緊張しないでいいわ、無茶なことはしないから……私がこうしたほうが感じる、と思ったことはするけど……そのさじ加減は任せてもらえるわね?」
「はい……応接室で告白した時点でそう決めてましたから……」
 
 大沢の道案内で車は一軒の廃屋の前に滑り込む。
「ここじゃよ、ウチの土地は、じいさんばあさんはとうに亡くなって息子が相続していたんだが、ダムの話を聞いてな、買い取っておいたんだ」
「雰囲気がありますね……山あいの廃屋って、SMの舞台にはうってつけ」
「そういうつもりで買ったわけじゃないがな……表庭は県道からも遠目に見渡せるが裏庭なら山を背負ってるから人目にはつかん」
 家に入ると、埃を被ってはいるが荒れ果てた感じではない、土間の脇に囲炉裏を備えた板の間があり、まだ煙の匂いが染み付いているので人が暮らしていた痕跡を色濃く残しているようだ。
「板の間、雑巾がけすれば休憩に使えますね」
「ああ、そうだな……裏庭にはこの土間を通り抜けて行ける」
 裏庭に出てみると、なるほど人目につかない平らな場所が広がっている、長年踏み固められたと見え、雑草もさほど茂っていない。
「広いですね……手ごろな木もあるし」
「そうじゃろ? まあ、板の間で一息入れんか」
「ええ、そうしましょう」
「井上君、そこにポンプがあるじゃろう?」
「ポンプ……ですか?……これのことでしょうか?」
「ああ、見たことはないか……それをこぐと水が出る、まだ井戸は生きてるはずじゃよ」
「こうですか?……ああ、本当だ……綺麗な水ですね」
「井戸水だ、天然水じゃよ、冷たくて美味いぞ」
「へえ……飲めるんですか……本当だ、ミネラルウォーターですね」
「それを汲んで来てくれんか、軽く拭かんと埃っぽくてかなわん」
「わかりました」
「それと車にガスコンロとコーヒーを積んであるんだ、わしが取ってくるからやかんにも水を頼む」
「あ、社長、そういうことは私が……」
「いいんじゃよ、今日の主役は幸恵だ、仕事で来とるわけじゃないからな」
 大沢はウインクして見せてコンロを取りに行く。
「いい社長ぶりね」
 里子が幸恵に言う。
「ええ……若い娘の間でも結構人気があるんですよ……」

 コーヒーを飲み終え、それぞれが膝を伸ばしてくつろいでいる間も幸恵は膝を崩さない。
「今日も穿いてないの?」
「あ、はい……」
「膝を崩せないから大変ね……もっともすごく女らしくて素敵な振る舞いだけど……私には真似できないわ」
「そんな……」
「さあ、始めるわ、気持ちの整理は付いてる?」
「それはここに来ると決めた時から……」
「気持ち良いわね……いざとなると尻込みする娘も多いのよ、あなたは潔くて好きだわ」


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