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大沢商事の地下室
【SM 官能小説】

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密やかな反抗-2

 高校生になり電車通学する様になると、親や知り合いの目の届かないところで少し羽根を伸ばしてみたくなる、カラオケやゲーセンなど、誘われるままに行ってみるのだが、どうしても夕食の時間が気になり、友達と別れて帰宅してしまう。
 しかし同級生達はそんな幸恵をバカにするようなことも仲間外れにするようなこともなかった、帰宅時間までは充分に楽しんでいる事はわかっていたし、細やかな心遣いの出来る幸恵と一緒に過ごす事は心地良いものだったからだ。

 専門学校で経理を学び、就職に際して東京に出たい、と母に申し出た時、予想に反して母は反対しなかった。
 「あなたなら大丈夫、どんな誘惑にも心を乱されることはないわ」
 その言葉は幸恵の心を握りつぶしそうな力を持っていた。
 結局、自分は母の思い通りに育てられた、母の下から巣立っても鵜匠に操られる鵜のように首に縄をかけられている……そして母はその縄の先をしっかり握っているのだ。

 東京に出て、大沢商会に勤め始めて数ヶ月。
 やはり、「心遣いの細やかな、誰からも好かれるおしとやかな女の子」という周囲の目は付いて回った、社会人としてそれが理想的なのはわかっている、周囲も学生時分にも数倍増してそれを評価してくれる、しかし、評価されればされるほど幸恵の気持ちは重くなって行った。
 (結局は母の思惑通り……)

 今日は社内挙げての納涼会、と言う日の終業後、更衣室で先輩に声をかけられる。
「あら、幸恵ちゃん、パンストじゃないのね」
 幸恵はその日、生まれて初めてガーターストッキングを着用していた。
「はい、完全防備ですと立ち振る舞いに隙が生まれますから」
「なるほどねぇ……そういう風にしてあのしとやかな立ち振る舞いを身につけたんだ」
「あたしには真似できないなぁ」
「あなたのスカートの中を覗きたがる男いる?」
「あ、酷いなぁ……そりゃそうかもしれないけどさ、そういう緊張感を保つことって大事よね」
 先輩たちの談笑に律儀に付き合った後、幸恵はトイレに立った。
 個室に入りパンティを脱いで小さく丸めてレジ袋に詰め、バッグの奥に仕舞い込む。
 朝、さんざん迷った末に選んだ、幸恵が持っている中で一番短いフレアのスカート。
 短いと言っても階段やエスカレーターで覗かれてもパンティが見えてしまう心配はない程度の短さだが、気をつけないとストッキングとパンティの間の生脚は見えてしまう程度には短い、ましてパンティを取ってしまった今は何かの拍子に全てを晒してしまう怖れもある、座敷での宴会で立ったり座ったりする時にも気をつけなければ……。
 その日の立ち振る舞いは一段としとやかだと同僚や男性社員にも賞賛される。
「あたし、幸恵ちゃんの秘密知ってるんだ、言っちゃおうかなぁ」
「先輩……」
「良いじゃない、あたし達感心したんだからさ」
「でも……」
「恥ずかしいようなことじゃないってば、言っちゃうよ」
「……」
「幸恵ちゃん、パンストじゃなくてガーターストッキングなの」
「え〜? どうして?」
 事情を知らない女子社員たちは驚きの声をあげ、男性社員たちは興味深々……。
「パンストだと完全防御じゃない? それだと立ち振る舞いに隙を生むからだって」
「へぇ〜……なるほど」
「でも、なかなかできることじゃないよね」
 女子社員たちは一様に感心し、男子社員たちはドキリとする。
 普段から身に染み付いたしとやかさがあり、こまやかな心遣いで好感を持たれている幸恵に対してだからこその反応、これがはすっぱな娘なら女性からは反発され、男性からは好奇の目で見られるところだが、赤面して小さくなっている幸恵に対しては誰もが好意的だ。

 それ以後、幸恵は下着をつけていない……。

 幸恵は成功した。
 しとやかさに密かにエロチックな要素を付け加えることで、母の躾で身に染み付いた振る舞いを変えることなく、母の影響下から大きく一歩を踏み出すことに……。
 そして、それから五年もの間、幸恵はしとやかな女性であり続けた……下着を着けないという秘密を誰にも知られることなく、

 里子に見透かされるまでは。

 里子の一言は、子供の頃から二十歳までの抑圧された感情と、この五年間の秘めた情念を解き放つのに充分なインパクトを持っていた。

「あなた……下着を着けてないでしょう?」


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