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変態学園の日常
【学園物 官能小説】

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第20話 29番日誌20-2



―― 7月○日 曇りのち雨 ――

 先週に続いて、今日は『税理士』さんがワークショップに来てくれた。 名前を【仁王亜奈瑠(におうあなる)】さんといって、年は20台前半といったところかな、かなり若く見えた。 

 ワークショップの前半は、まず『税理士』という仕事の成り立ちを教わった。 税理士は、100年以上前の第二次大戦下、戦費調達のために税制が複雑化し、納税漏れや重複課税が頻発した時代に生まれた。 節税知識や事務処理を代行し、商売本業を手助けするうちに悪徳業者が頻出して、対策として正式な資格を伴った『士業』になったそうだ。 ただ、仁王さんによれば、税理士が関わったからといって、旧世紀の税制が優れているかというと、必ずしもそうとはいえない。
 また、税務処理が煩雑で日常生活から乖離していることそのものが、税の非効率と無駄を生むため望ましくないそうだ。 税の理想は、古代ローマのように『払うのをしょうがないと思える程度の少額に抑えた』『分かりやすい』『公平感がある』制度だといっていた。

 旧世紀の弊害を色々教えてくれたけれど、本音をいうと、難しすぎてよく分からなかったから、こっそり【2番】さんに尋ねた。 要約すると『節税が存在する時点で税の公平性は担保されていない』『誰もがキチンと税を納める方法は1通りになるべき』ということらしい。 こういう風に噛み砕いてくれると、すごく助かる。 やっぱり【22番】さんは頭がいい。 

 現代の税制は、消費した金額の5%を国庫に返納する『消費税』だけ。 旧世紀の相続税や法人税、所得税に固定資産税、住民税と地方税、全部まとめて廃止されている。 生活に最低限必要な費用はランクごとに無条件で給付されて、これを『ベーシック・インカム』と呼ぶ。 これに加えて上司から貢献に応じて『エクセトラ・インカム』が給付され、合わせた額が社会人の収入だ。 一次原料に支払った額――食料、布、建材、燃料その他――は全て国庫に一度納められ、その全額がベーシック・インカムと最上級の役職へのエクセトラ・インカムに回される。 数式にすると次の通り。

『一次産業の原材料費』=『全職種のベーシック・インカム』+『最高役職のエクセトラ・インカム』

 上級の役職についた人は、給付された額を自分で使ってもいいし、部下に給付してもいい。 ただし次回の給付までに全て配布しないといけない。 この繰り返しにより、下へ下へとお金が流れる仕組みが完成だ。 私有財産の積み重ねは認められていない点は、共産主義的だな、と思った。 ちなみにベーシック・インカムが認められているのは『Cランク』まで。 それより下のランクになると、一切お金と無縁な生活になるという。

 以上を踏まえ、税理士の仕事は次の2つ、『消費税の徴収』と『物価の管理』だ。 『消費税の徴収』は字面の通りで、すぐ理解できた。 『エクセトラ・インカム』は直接物品を販売する一次産業には該当しないため、物品のやり取りに伴う給付を測定する仕組みが存在しない。 なので税理士が物品販売売掛をチェックし、適性な給付がなされているかを判断し、税金を申告する仕組みになっている。 問題は次の『物価の管理』で、これは……難しすぎてよく分からなくて、【22番】さんに尋ねてみた。

 『原料への支払いの総額からベーシック・インカムを引いた額が最上級役職の給付になり、一定期間ごとにその給付は下の役職に渡るが、すべてが一度に行われるわけではないためタイムラグが生じる。 よって役職機構が多くなればなるほど、各役職階層における給付金にムラがでる』ため、『給付額を原料費や物価によって調整する必要』がある。 ゆえに『物価の調製によってタイムラグの解消に努める職業』として税理士が必要になる――とまあ、こんな感じだ。 本音でいうと【22番】さんもよく分かってないみたいだった。 もし【22番】さんが理解できていないなら、どう頑張っても私が理解するのは無理ってことだ。 まあ、私は税理士にはなれそうにないってことは良く分かったから、よしとする。

 ワークショップはあんまり覚えていない。 伝票算といって、伝票を捲りながら電卓で合計を計算するっていう、すごく普通の体験だった。 まあ、伝票を乳首にぶら下げておっぱいを揺らしながら捲らされたり、クリトリスにぶら下げて腰を振りながら捲らされたりしたけれど、いつもの授業に比べればどうってことない。 指で伝票を捲るときには一度オマンコに入れて濡らしてから捲るといい、なんて教わらなくても一目で思いつく。 

 それよりも、学園を卒業したら買い物したりできるってことが分かったのって、これ、すごい収穫ですよ……。 学園を無事に卒業して社会人になれたとしても、上手くいってエンドレスの奴隷生活なんだろうな、なんて思ってましたから。 自分でお買い物にいける可能性があるなんて、例え糠喜びだったとしても構わないです! 一瞬でも昔みたいなショッピングを想像しただけでテンションがあがりますもん。 どうせ裏切られるなら、少しくらい夢をみた方がお得感がありますよね。

 学園を卒業したら、少なくとも今と比べたら人がましい――いや、牝がましいというべきかなー―生活が待ってるかもしれないって、そう考える材料は多いに越したことはありません。 久しぶりに、前向きになれた一日でした。


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