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キスの後で…
【女性向け 官能小説】

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-1


あの日。
私がまだ知らない斎藤先輩の電話番号がずっと震えていた。

斎藤先輩は何回目かの長い長いバイブにため息をついて
やっとその電話を取った。

「ああ。・・・家は無理・・・わかった。明日の夜な」

簡単にそれだけ言うと電話を切った後に少し考えていた。
電話の向こうは女性だった。
携帯から漏れ聞こえる声はたぶん、先輩の元カノ。

明日会うんだ・・・・

それは聞くに聞けなくて。

その日の夜は湯船につかりながらずっとずっとモヤモヤとした気持ちを
どうすることもできなかった。

無駄に長時間湯船に浸かっていた身体は熱くなり、
いつもはさほど低くしないクーラーの設定室温を低くして
長風呂で疲れたままに寝てしまった。

はい、案の定、そのまま夏風邪をひきました。

斎藤先輩は今頃、久しぶりにきれいな元カノに会って
私のことなんかすっかり忘れているかもしれない。

そう思うと切なかった。

なぜ今になって会う必要があるのか。
あんなに相手が出ない電話を何回も鳴らし続けるのか。
いろいろな考えがグルグルと頭を駆け巡って。

熱があるぼーっとした頭でもうこれ以上考えられなかった。

それでも否定しても否定しても、羨ましいのは
私の知らない斎藤先輩の電話番号を
あの送信の主は知ってるって事。

「いいなぁ・・・先輩の電話番号。
先輩に会いたい・・・」

でも。
きれいな元カノに会ってその記憶が新しい時に
熱があって、ろくに起き上がれず
髪もとかさず、顔も洗っていないこの姿を
斎藤先輩に、見られたくない。
その事だけは強く思った。




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