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尚代 その後
【若奥さん 官能小説】

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その後-2

 この事件から数か月経った頃である。夫の浩二は、まだ九州支社に勤務していた。
 尚代がひとり、家で仕事をしていたときだった。
「オハヨー。尚ちゃん。……居る?……ねぇ、居るんでしょ。ねぇ……」
 突然、夏純の声がインターホンから聞こえてきた。
「返事してよ。入るわよ。いい?……」
 あの日と同じ声がする。
 玄関に出てみると、明るい服装の夏純がいた。
「お姉ちゃん、久しぶり。お変わりない?……まぁ、入って」
「じゃぁ、ちょっとだけ……人を待ってるの。もうすぐ迎えにくるのよ。じゃぁ、ちょっとだけ……お邪魔するわ」

 リビングに入るとソファに腰を降ろした。
「あの日以来ね。この家に入るの。……でも、この部屋は変わってないわねぇ」
「お姉ちゃんも、元気そうね」
「ええっ、とっても……」
「なんか、色艶も良いみたいだし。……ねぇ、だいぶ太った?」
「ええっ?……わかる?」
 夏純はソファから立ち上がった。
「ふふふ……どう?」
「あっ、もしかして……」
「そうよ。できちゃったのよ。……あの日の子供よ。もう七か月だって……」
「ええっ?……お姉ちゃん、産む気ぃ?」
「もちろんよ。……あれから彼と連絡取ってね。……ときどき会っているうちに、夫とは離婚することになって、今は彼の家に住んでいるのよ。……彼の家、この家のすぐ近くなのよ。知ってた?……それにものすごい大金持ちなの。……彼の弁護士さんと相談して、示談が進んでいることは、尚ちゃんもわかるわよね」
 主人と弁護士との間での話がまとまりつつあるということは聞いたことがあった。
「まだ、行動には厳しい制限があるんだけれど……逆に、一日中彼と一緒……心も身体もね。まぁ、外に出る必要もないけれど……」
 尚代は驚いた。
「まさか……」
「ええっ、そのまさかよ。……もう、彼のでなければ、我慢できないのよ。別れた夫とはあの日以来、ずっとレスだったから」
「そんなこと、……信じられない。だってぇ、無理矢理だったじゃない……」
「まぁ、あのときはね」
「嘘みたい」
「ねぇ、見て!……すごいの見せて上げる」
 夏純はスカートをまくり、パンストごとパンティを下げた。バチバチと静電気の音がする。
「あっ!」
 尚代は思わず声を上げた。 黒い翳りは無くなっていた。
「ねっ!綺麗に脱毛したのよ」
 夏純が笑った。 そして、尚代に向かって腰を突き出した。
「どう?……入れちゃった……タトゥー。そしてナンバーロックキーも……」
 夏純は、恥ずかしげもなく、尖りの包皮をめくり、亀頭を露出して尚代に見せた。勃起して赤く膨らんだ亀頭にはアルファベットが彫ってあった。そして、尖りから続く花びらには食い込むようにナンバーロックキーが付いていて、二枚の扉は綺麗に封じられていた。
「夫には悪かったけれど……もう、別かれたし。……子供は夫が引き取るって話もついて、夫の実家に引っ越していったわ」
 下着を戻し、服装を整えながら言った。
「ええっ……まぁ、可哀相」
「まぁ、夫も、子供もわかっての話だから……」
 再び、ドサッとソファに腰を降ろし、コーヒーを一口飲んだ。
「でも、すごい、展開ね。……驚いちゃったわ」
「さぁ、もうすぐ、彼が車で迎えに来るわ。今はね、彼の家の離れで生活してるの。離れといってもこの家くらいはあるかな。お手伝いさんもいるのよ……さぁ、これから家に帰ってランチを食べて、……ふふ、彼を食べて……でも、遅いわね。コンビニでタバコ買うだけって言ってたのに……しばらく乗ってなかった車で、練習がてらに家から出たんだけど……」

 遠くから救急車のサイレンが聞こえ、だんだん近づいてきて停まった。
「なにか、あったのかしら?」
 尚代は玄関の外に出た。
「何があったんですか?」
 救急車の方からくる人に尋ねた。
「コンビニの近くで交通事故よ。車とトラックの衝突!……グリーンの輸入車のオープンカーがトラックの下に潜り込んじゃって……」
「えええっ!」
 尚代の後ろにいた夏純が大声で叫んで、走り出した。

 事故現場についてみると、レスキュー部隊がトラックの下敷きになったオープンカーを引き出そうとしていた。
「あのう、運転していた人は?」
 夏純が警察官にきいた。
「運転?トラックの?」
「いえ、オープンカーのほう……」
「見ての通りよ」
「じゃぁ、まだ、あの中に!……ねぇ、大丈夫なの?」
「大丈夫も何も……首から上が無いんだから……」
「あああああぁぁぁ……」
 崩れ落ちる夏純を尚代が抱えるように支えた。

<尚代 その後 完>


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