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離婚夫婦
【熟女/人妻 官能小説】

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突然の別れ-2

「みんなご苦労さんだった。とりあえずプロジェクトの第一段階は、無事終了したと思っている。次のステップは、更にハードになってくるが、また力を貸して欲しい。とりあえずこのチームの再集結は来月になると思う。それまでは自分の部署に戻って、通常業務に勤しんでくれ。週末しっかりとリフレッシュして、また来週からよろしく頼むぞ」
 今回の北海道でのリサーチの総評を、姿常務から受けたプロジェクトメンバーは、そのまま羽田空港で解散となった。
「色々とありがとうございます」
 豊川は、電車で帰ると言う姿を追いかけ、礼を言った。
「このプロジェクトはまだまだ始まったばっかりだ。これからは色々な事が起ころだろう。恐らくは私がこのままこのプロジェクトの総括責任者としてやっていくことになる。君には私の右腕として活躍してもらいたいと思っている」
「恐縮です」
 豊川は背筋をピンと伸ばして軽く礼をした。
「もしあれだったら、来週一週間休んでも問題ない。総務部長には私から口添えしておく」
「ありがとうございます。とりあえず、今日行ってみますので、今後の予定もそこではっきりとすると思います。決まりましたらご連絡させていただきます」
「ああ、そうしてくれ。気掛かりなことを心に溜めたまま仕事をしても、いい仕事は出来ないからな。だったらその問題点を取り除いてから仕事をしてくれた方がよっぽど効果的だと私は思っている」
 姿の手腕、特にモチベーターとしての社内評価は最高レベルだと聞いたことがある。もちろん経営術にも定評があるが、部下をやる気にさせ、育成していくことに関しては社内で右に出るものがいない。
 大手商社から引き抜かれ、入社後からその能力を遺憾なく発揮し、華々しい成果を挙げ、この会社では異例の、50歳そこそこで常務にまで昇進した。
 「何かあったら遠慮なく相談してくれ」
 そう言って姿は電車の改札口方面に向かうエスカレーターで降りていった。

 羽田空港から紀夫の自宅までは2時間近くかかる。時計を見ると、5時30分を回ったところ。豊川のアパートは全く逆方向にあり、一度帰宅してからだと、11時近くになってしまう。
 豊川としても、すぐに行きたい気持ちが抑えきれない現状を考えると、兎にも角にも現地に向かうことを最優先しようと思っていた。
 百合子宛のメールを送り、8時までには到着する旨を伝えた。

 最寄りの駅に着き、バスの時間を調べる。歩いても20分程度の距離ではあるが、1週間の出張の疲れと、紀夫の訃報を聞いた精神的な疲労から、豊川の疲労はピークに達していた。歩いて移動するには酷な距離だと感じていた。
 運良く10分後に出るバスがあった。すぐそばまで来ていることを実感し、少しホッとした気持ちにもなると空腹であることに気付いた。
 考えてみれば、昨日の宴会途中から水分はそれなりに摂ってはいるものの、食事らしい食事はしていなかった。
 豊川は駅前のコンビニに立ち寄り、おにぎりを一つ買い、バスを待つ間に食べた。
 最寄りの停留所は3つ目。直線距離で行けばもっと近いのだが、駅前を少し周回する感じの路線なので、10分程度かかる。
 最寄りの停留所で降りる。
「ふぅ〜ぅ」
 豊川は、バスのテールランプを見ながらため息をついた。
 一刻でも早く、馳せ参じたくここまでやって来たが、既に別れた元嫁の実家に行くことにそれなりのプレッシャーを感じていた。
 百合子とは密に連絡を取っているし、紀夫同様豊川のことを可愛がってくれていたので何の心配もしていない。
 しかし、父の一大事に娘の望未がいないわけがない。他にも姉妹たちだって来ているだろう。
 別れて以来彼女たちとは会っていない。
 特に元嫁である望未とはどんな顔をして会ったらよいのか。どんな言葉を交わせばよいのか。答えが出ないままここまで来てしまった。
 菜緒がいるので、凍り付いた雰囲気にはならないだろうが、気まずい状況に陥るのは間違いない。
 停留所からは5分も掛からない距離だが、そんなことを考えながら歩いていたから、ものの1分ぐらいで着いたように感じた。
 菜緒にはバスに乗ったことをラインしておいたので、玄関前で待っていてくれた。
「パパ・・・・・・」
 菜緒の目に涙は無かったが、泣き腫らしたのか、真っ赤に充血し腫れ上がっていた。
 豊川は無言で頷き、ポンポンと軽く頭を叩いた。

玄関には、多くの靴がやや乱雑に置いてある。
 恐らくは親族、それもごく近い近親者が集まっているものと思われた。
 菜緒がリビングに顔を出すと、百合子がやって来た。
「あぁ、晃彦さん・・・・・・・北海道からわざわざありがとう。急なことで私もびっくりしちゃって」
 完全に想定外のアクシデントのようだった。急性の心筋梗塞だとは聞いていたが、その予兆はほとんど無かったらしく、『覚悟を決める』時間的余裕などなく、突然の不意打ちのように家族に悲劇をもたらした。
「気が付いた時は、なんていうの・・・・・・息もしていなくて、顔が真っ青になっててね。お医者さんが言うには、恐らく30分近くしてからの発見だったんだろうって」
 昨日の昼過ぎ、いつものように食事を食べ終えた後、百合子は炊事のためキッチンにいた。紀夫は版画用具の整備をすると言って、縁側に移動した。
 百合子は洗い物を終わらせると、やり終えていない場所の掃除に取り掛かった。普段であれば、掃除は午前中に終わらせてしまうのだが、この日は午前中に町内会の婦人部会があり、近くの集会所に顔を出していたため、炊事の後に掃除をすることになってしまった。
 普段は、炊事の後にお茶を出すのだが、紀夫が趣味に興じる時はあまり邪魔をしないことにしていたし、掃除のこともあったので、いつもよりも遅いタイミングになってしまったようだ。


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