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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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優しさに触れ…-8

「ただいま…。」

あからさまにか細い声で挨拶する、駄目だ胸張んないと、僕がしっかりしないと僕がお母さんを護ってあげないと!

少々臭い台詞を思ってしまったけど、意を決して居間へ行く、すると。

「あっ!お帰りなさい!どうだったお友達とのデートじゃなかった釣りは。」
「っ!!」

そこには僕が思っていた暗くて陰でめそめそ泣いてる母の姿はなかった、あれ以来台所に立つのにエプロンもしてなかったのに今日は来ていて、それも明るめの真新しい柄と色と
僕が話してもか細いそれこそまさにさっきの僕の挨拶のように小声でしか話せなかったのに活気に満ち溢れた声で返答してくれて。

「珍しいよねぇーアンタが釣り何て、ねぇ聞いてる?」
「…あっ、うん!友達に色々教わって結構楽しかった。」

あっけに取られて少し返答に遅れた、表情もいつものいや前以上に元気で。

「今日はシチューよ、あっそうだ!少し味見してみて!」

そう言われ鞄を下し、台所へ駆け寄り、小皿に救ったシチューを味見する。

「わぁ!美味しい!どうしたの!本か何かで教わったの?」
「うーん、それはちょっと違うな、人に教わったの。」
「人、誰?お隣さんとか。」
「あはは違う違うアンタの良く知ってる子でしょーが。」

お母さんと親しくて、僕の良く知る…ひょっとして。

「昨日ねぇー、突然やってきて言うのよ、おばさんと遊びに来ましたって…一瞬アンタと間違えたんだと思ったけど、それから一緒に買い物に行きましょうとか、その後公園で綺麗な花を見たり、美味しいカフェに寄ったり、家に戻ったら美味しいシチュー一緒に作りませんか?って。」
「……。」

若葉ちゃん。

そう楽しそうに口を動かし、シチューを混ぜる。

「それで気が付いたら先程まで落ち込んでたのが嘘のように晴れて、あんた奴の為に今までウジウジしてたのがばかばかしく思えて来て。」

僕が落ち込まないように一条君が来てくれたのだって、彼はあんな事言ってくれたけどそれでも彼女が彼に事情を話してくれたから。

そのうえ母にまで、僕ら親子は彼女の心優しい働きかけによって。

「ねぇ風馬…。」
「うん、なぁにお母さん。」
「…大事にしてあげるのよ、あんな良い子世界中探してもそうそう居ないから。」
「……うんっ!」
「ささっ!分かったら食器並べるの手伝って。」
「はーい!」

若葉ちゃん、君って人は。


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