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欠ける月々
【悲恋 恋愛小説】

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欠ける月々-3

「そろそろ出るか」

「そうですね…わぁ、もぅ4時って!」

「すごいよなぁ」
本当にそう思ってるのか分からない口調で言った。

「すごいですねぇ」

愛車のBMWに乗る。
エンジンがぶぉっと鳴る。
夢の終りを告げる合図。

「なんか、久しぶりに夜中にコーヒー飲みに行ったわ〜」
満足気な表情で貴方は言った。どうやら楽しかったらしい。

「そうですね〜、あたしも楽しかったです」

「おぅ」
その低く優しい声で
こっちを見て
貴方は笑う。

「最近一緒にいく人おらんかったけんさぁ、良かったわ。

また行こうで」



―また行こうで…


嬉しくなる自分がアホらしい。

「もう是非是非!あたし基本ヒマなので。土日以外は」

「土日以外?」

「あ、和樹が来るので」

「あぁ」

彼氏を大事にしてることを、それとはなしにアピールしてた。
私は本当に何がしたいんだろう…


さすがに夜中の4時とあって車も少ない。
かすかに外はもう明るかった。
そこを右折すれば
もう夢から覚める時間だ。

貴方は右折のウィンカーを出した。
狭い路地を抜けると
貴方の家に着いてしまった。

「はぁ〜着いた!」
夢から覚める準備をしないと。

「おぅ、お待たせしました」


車から出て
自転車を取りに行く。

まだ一緒にいたいけど、そんなこと言えない。
言える訳ない。

「ごめんな、こんな時間まで」

「あっ、いえいえ、こちらこそ。楽しかったんで大丈夫ですよ」

「おぅ、なら良かった」



嫌。
帰りたくない。
貴方と一緒にいたい。
触りたい、触られたい。
あたし貴方が好きなんだ。
好きなんだ。
好きなのに…


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