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ゴヤ・シンドロームの男
【その他 官能小説】

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夢の干渉-2


「あのう……」

 ずっと後をつけてきたサヤカが俺が立ち止まった時、声をかけて来た。

 ここは連れ込み旅館などが立ち並ぶラブホテル街の一角だ。

 俺はわざとこっちの方に足を運ばせてきたのだ。

 俺は顔を赤くしてもじもじしている沙也加の方へつかつかと歩いて行った。

「俺と一緒にラブホテルに入ってエッチするか?」

 俺は露骨に聞いた。

 すると更に顔を真赤にして俯いた沙也加はコクンコクンと頷いた。

「男性経験はあるのか?」

 沙也加は今度は首を横に振った。

「俺のことを知っているのか?」

 沙也加はまた首を横に振る。

 女子高校生で処女の子が初めて会った男に抱かれたくて付いてきている。

 これは明らかに異常なことだ。

 俺は沙也加の耳に口を近づけた。

 息がかかったらしく、ビクンと肩を緊張させる。

「夢で必ず会おう。そしてお前を抱くから、現実ではここまでだ」

 俺は呆然とする沙也加を後にしてその場を去った。

 どうしてだろう? 俺は実際に抱きたかったのに?

 何故あんなことを言ってしまったんだろう。

『それはハヤテ自身が判断したことなのじゃ』

 えっ、どういうことだ? 俺はあの子を抱きたかったぞ。現実では童貞の俺だ。JKの据え膳なんて、一生ありえないチャンスだろう。

『彼女は未成年じゃ。いくら合意とはいえ、犯罪になる。あわよくばバレなかったとしても、一度関係を結ぶとハヤテにぞっこんの彼女はつきまとうことになる。

 色々なリスクを考えたとき、避けたほうが良いと一瞬のうちに計算したのじゃ』

 へェェェ、俺って意外と理性的で計算高いんだな。知らなかった。

『普段からハヤテはそういうことを無意識のうちに高速で計算して不利益になりそうなことを避けるようにできているんじゃ。

 コンビニを襲って店長を刺殺し、たった二三千円奪って捕まるようなバカな強盗とは違うってことじゃ』

 人を殺して二三千円盗るよりも誰も傷つけずに一億円盗った方が罪が軽いというのも頭を使ったかどうかということか。

 俺は一億円を狙うほうなんだな。いやいや狙わないけど。

『ほら、もう一人夢での縁に惹きつけられてやって来た者がいるぞ』

 なんのことだ? 

 言われて顔を上げて見渡すと向こうから男の子がやって来た。

 そしてそいつは裸だった。いや、女の子だ。女の子しか裸に見えない筈だから。

 ユウキだった。

 すると目が合って、向こうが凍りついたように立ち止まった。

 そして両手で胸を抑えた。ちょうど胸骨の辺りに両手を重ねて俺を凝視する。

 その顔は切なそうで今にも泣きそうにも見える。

 俺にも変化が現れた。

 胸の奥を甘美な痛みのようなものが広がってくるのだ。

 甘く痺れるような快感が胸の最深部を貫いてくる。

 セックスで射精した時の快感とは違う。胸の奥で射精?しているような不思議な快感だ。

『それが精神的な快感じゃよ。恋愛が成就した時に味わう心の奥から湧き出る満足感のようなものじゃ。

 すでに夢の世界で交わっているから、ある種精神的な防御とか障壁がない状態なのじゃ。

 両思いの男女が出会ったときの喜びが体中の細胞を活性化させてセックスに備えているところと言っておこうか』

 俺は立ち止まっているユウキの方へ一歩一歩近づいて行った。

 彼女はフリーズした画像のように動かない。

 顔を近づけると彼女の瞳孔は大きく開いていた。

 口は中開きになって鼻孔をひくひくさせて、ときどき生唾を呑み込む音がコクンと。

 顔は上気してまるで風呂あがりのようだ。

「この間は……突然飛び出して……ごめんなさい」

 ユウキはようやくそう言った。

「いや、俺こそ初めて会ったユウキに変なことを言って、驚かせてしまってすまなかったな」

「秘密……打ち明けるよ。僕は男じゃなくて女なんだ」

「そうか。気が付かなかったな。男でもそうだけど、女にしても綺麗な人だな」

「驚かないんだね? わかっていたんだね、本当は?」

「まあね。ところでこれからどこに行くんだ?」

「アイドル歌手のサミーがN市の予定を変えてこっちに来たっていうんだ。

 急なことなので、チケットも今日の予定だったN市のコンサートホールの物をそのまま使うらしい。

 ファンが押しかけて来てるけれど、地元の人用にも少しだけ販売してくれるって聞いたんだよ」

 夢の吸引力がここにも働きかけたらしい。

 ユウキはもじもじしてから俺を誘った。

「一緒に行かない、あのう……」

「俺はハヤテ、チケットは?」

「ないけど、最悪ホールの外で音だけでも聞けるから、ハヤテ……行こう?」

「分かった」

 俺たちはこの街の文化ホールに行くことにした。




 
 


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