第１２章 フェロモンの採取-3
第１２章 フェロモンの採取（３）
マヤは、これでいいかという確認のサインを目で部長に送った。
部長は軽く肯き、満足そうな笑みを浮かべた。だが、それはすぐに淫猥な目つきに変わっていった。接待する方も、招かれた客もどちらも、こらから始まる淫靡なショーを楽しみに待っているのだ。
「では、別室の準備ができるまで、お食事をなさって体力をお付けくださいませ」
マヤが慇懃に挨拶をした。
腿のパイプを外された美弥は、二人に挟まれるように部屋を出ていった。
美弥は、マヤに腕を掴まれ別室に連れて行かれた。
「さあ、これからタップリ愛液を出して貰うからね。……そのために、もうちょっと元気がでてくるようにしてあげるわ。なんせ明日の朝までだから……夜は長いわよ。ふふふ」
そこで、皆に気付かれないよう、すばやく美弥の腕を取り、憎々しげに催淫薬を注射した。
「そうそう、こっちはきれいにしておかないとね……」
さらに秘裂を綺麗に拭う振りをして、ガーゼを使って興奮剤を股間にたっぷり塗り込んだ。
客の男たちは中央に大きなベッドがある部屋に移っていた。ベッドに腰掛けた男たちを前に、マヤとユキが立っていた。
「この部屋でショーの続きをしたいと思います。皆様の銘刀を振りかざす前に、ハイジの吐き出す淫液をこの五十㏄のカップに一杯になるまで集めてみたいのですが、いかがでしょうか？……ご協力いただけますでしょうか？」
「うおぉぉぉっ……いいぞぉ」
「賛成っ……やろうじゃないか」
パチパチと拍手が起こった。
「しかし、そんな大きなカップに一杯になるのかね。せいぜいおちょこ一杯ってとこじゃないかい？……足りない分は君たち二人が出すのかい？……ヘヘヘっ」
足立が卑猥な目つきでマヤに言った。ユキは赤い顔のまま俯いている。
「そこが、皆様にもご協力していただきたいところなのです。……女を責めるのは、やはり男の人がいないとできないものです。皆様の日頃鍛えておられる腕前を拝見したいと思っています。……皆様、お手を汚すことになりますが……よろしいでしょうか」
淫猥な質問をサッとかわした。
客席はドッと笑いが出て、皆乗り気になってきた。
「集めた液はどうするんだい」
客の一人の坂藤が訊いてきた。
「はい。……この液から、殿方の若帰りの薬と申しましょうか、いわゆる男性が興奮する媚薬をつくります」
「わかった。……それがさっき言ってたフェロモンちゅうやつだな……ひと嗅ぎすれば、やる気も起こらんような、ちょいブスのうちのかみさんにも、激しくさかるようになるってわけだな。……それはどんな女が相手でも効くもんかいな？あっはははっ……」
坂藤が品無く聞いていた。
「おいおい、坂藤さん！……お宅の美人奥さんがちょいブスなら、うちのなんか極みブスじゃないですか。効くも効かないも、うちのブスで、今度試してみますか？ははは……」
足立が笑いながら答えた。
「このハイジはやがて受胎させられることになっています。……それも強制的にです」
突然のマヤの説明にざわめいた。
「受胎前にこの淫液から抽出したフェロモンを男性に与えます。……本研究所には、精子供給員が数名いますので、自分の出したフェロモンにより、効率よく受胎が進むということになるわけです。……今晩はその練習をかねています」
精子供給員とは、この会社に侵入した男のスパイのことで、危険な作業や厳しい労働をさせられたり、時には女スパイへの種付けにも使われていた。
受胎といっても実際のところ一週間以上にわたる輪姦のことであって、美弥とその男どもを一室に閉じ込めておくだけのことなのだ。芳子は一晩だったけれど、美弥の場合は一週間以上ということで、女にとってどれだけ壮絶なものか。閉じ込められる部屋は窓も無く、ただベッドが置いてあるだけなので、食事と排泄以外といったら、女と交わることしかすることがないのだ。
その間、食事には強壮剤が混ぜられ、空調からはフェロモンが嗅がされ、僅かに聞こえる音量の女の喘ぎ声がスピーカーから常に流されているのだ。男たちは四六時中ビンビンの興奮状態にさせられる。
そして美弥は、自分の出したフェロモンのために休む間もなく犯され、男の精をたっぷり体内に受け入れるのである。
男たちが狂ったように女を奪い合い、性交に励む姿は、それは恐ろしいものである。友子もやがてそうなる運命であった。
四人のお客が全裸で美弥を迎え入れた。
「それじゃ、打ち合わせどおりにな……いいな」
四人は顔を見合わせてニヤッと笑った。
＜第１２章 フェロモンの採取（３）おわり この章つづく＞