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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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週末-5

駅の北口にある雑居ビルの3階。
狭いエレベーターに乗り、
フロントで部屋番号と人数変更を
店員に伝えると、
タクミは106号室のドアを開ける。

10人ほど入れる部屋に、
6人集まっていた。

お喋りをしていたらしく、
曲は何もかかっていない。

真由美がテンションの高い声で
タクミを見るなり、
「お疲れーー!」と手を振りながら
挨拶をする。
タクミは小さく「おぅ。」
と言うとドアの一番近くに座った。

男が3人、女が3人。
タクミが合流して男は4人になった。
タクミが真由美に言う。

「歌ってなかったの?」

「さっきまで歌ってたよ!
ちょっと休憩〜
お喋りしてたぁ〜」

「そっか。」

「もう誰も誘ってないの?」

真由美が健を見て言う。

「まーー、こんなもんでしょ。
呼んでもいいけど、
部屋に入らなくない?」

「確かにーー!」

「朝までーー!
歌いますかっ!」

健がふざけて、
マイクを使って言う。

「歌おーーー!!」

真由美が答える。
マイクを使っているかのような声量に
周りは笑いながら「声でかっ!」
「酔ってんの?」とツッコミをいれる。

それから7人はしばらく
部屋の照明をしぼって歌を歌い、
カラオケを楽しんでいた。

20分ほどすると、真由美が席を立ち
健の隣に座った。
2人は真由美のスマホを
見ながら話している。

タクミの視界に2人の姿が入ったが
さほど気にならず、歌い続けていた。

歌い終わると恭助の番になる。
しばらく恭助が歌っていると
健がタクミの隣にきた。

健が、タクミの耳元で話す。

「 ぃ って。」


「ぇ? 何?」

恭助の歌う曲の音量が大きくて、
聞き取れなかった。
タクミは健の口元に近づいて聞く。

「もっかい。
  何 ??」

「 ゆ か !
 話したいって! 」

「、 、え?」

「タクミと! 
   どーする? 」

「、 、 、 、、。」

タクミは真由美を見る。
真由美は、一旦外に出よう、
とドアを指さす。
タクミは頷くと、
3人は一旦部屋の外に出た。
タクミが真由美に言う。

「由佳、来るの?」

「ごめんっ! タクミ!
カラオケやってんのは、
学校でもう、言っちゃってて。
健達と合流した事言ったら、
タクミいる?って聞かれて。
いるって言ったの。
私さぁ、逆だと思ったんだよ。
タクミいるなら行かない、って
言うと思ったの。
最近はそうだったから、、。
      だから、、 」

「そっか。
っつーか、
 気ー使わせてごめんね。」

タクミが微笑んで真由美に言う。
真由美はタクミの言葉を聞いて、
ほっとする。
健が言う。

「どーする?
嫌だったら席、外しちゃう?」

「ん? んーー、、 
 俺と話したいって、言ってんの?」

タクミが真由美に聞く。

「うん。
なんかラインで、、。
タクミと話したいんだけど、って。」

「、、そっか。
じゃーー、 、 、うん。
    話すよ。」

「え? でもタクミ、、、
 今彼女いるんでしょ?」

「うん。」

「じゃあ、話さなくても
いいんじゃない?」

「まーねー。
俺は話す事ないけど。
向こうがあるなら、、聞くよ。」

2人の会話を聞いて、健が言う。

「そっ か。
まぁ、2人の事だしね。」

「気ー使わせて、ごめんね。」

「さっき聞いたよ。」

「、、、。
  気ー使わせて、
  ごめんね、真由美。」

「あ、真由美だけに言ってたの?
俺、、入ってなかったんだー、、。」

健はそう冗談を言って
タクミと笑い合う。
真由美も2人につられて笑うが、
フロントの方を見て真顔になり呟く。

「ぁ、。 由佳、、。」

健とタクミもその声を聞いて
振り向く。

由佳が、来た。

長身で細身の身体。
真っ白のダッフルコート。
ショートヘアに、一重の凛々しい目。
その目が、物言いたげに
タクミを見つめている。

「、 、、。」

「、 、、、。」

2人はしばらく見つめあう。
健がタクミに言う。

「 あ 。
 じゃあ、俺ら戻るよ。」

「、、、うん。」

健と真由美は部屋へ戻った。

しばらく2人は沈黙する。

別れて以来、学校では
2人は全く話さなくなった。
タクミは、
それが普通の事だと思っていたし
相手も自分とは話したくないだろうと
思っていた。

しばらく沈黙した後にタクミが言う。

「話って、なーに?」

「、 、、、。」

「、 、、。あ、座る? 」

「、、 ん。」

フロントの前に設置してある
テーブルと2つの椅子。
それが3セットほどある。
2人は椅子に腰を下ろす。
由佳は落ち着かない様子で
ソワソワしている。
しばらく沈黙していたが、
由佳が口を開く。

「ねぇ、、。
あっちで話そうよ。」

「 ? あっちって?」

「、 、 、、。」


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