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アダルトビデオの向こう側
【熟女/人妻 官能小説】

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4.セックス・セラピスト-8

 ミーティングルームで四人はテーブルを囲んでいた。
「春美、すっごく感じてたみたいだったね」
 春人に寄り添って座った春美は恥ずかしげに頬を赤らめ、言った。
「あんなに身体が熱くなって乱れちゃったの、生まれて初めて。もうどっかに飛んでいきそうな気持ちよさだった」
「あ、ありがとうございました、ケンジさん」春人も頬を赤く染めて前に座ったケンジに頭を下げた。「俺もめっちゃ昂奮しました」
「まったく、君が昂奮してどうする」ミカが呆れたように言った。
 ケンジも少し赤くなっていた。
「うまくできそう? 春人君」
「明日、あたしが春人君を指導して、コンプリートだから」
「そうだな」ケンジは笑った。「さて、春人君」
「はい」
「春美さんの性感帯の特徴を教えるよ」
 ケンジはそう言って、人体のイラストが描かれたシートを広げた。それは全身の正面、背面、そして女性器の詳細図の三種類の画だった。

 ケンジは赤ペンを手に持ち、説明した。
「乳房は左の方が感度が良いけど、どちらも乳首は間違いなく性感スポット。それから向かって右側の耳の下からうなじにかけても感じるはず。唇で優しくキスしながら愛撫するといいよ」
 ケンジはイラストの該当部分に印をつけながら解説を続けた。
「意外だったのは両膝の内側。指でマッサージするように揉んでやると高まり方が早まるようだね」
「はあ……」

 春人だけでなく、隣の春美も自分の身体のことであるにもかかわらず、目を丸くして感心していた。

「体位はバックがけっこういける。極端な深入りはかえって違和感を感じるみたいだから、正常位で脚を抱えた状態や脚を交差させてのピストン運動なんてのは今のところあまりやらない方がいいね。それより、うつぶせにして浅いところで大きく動いた方が感じ方は大きいみたいだ」

 一通りの説明が終わり、赤い印がつけられたそのシートをファイリングしながらケンジは言った。「とは言っても、その時の気分とか、慣れとかで性感帯も変わるもんだよ。一番大切なのは、この人を気持ちよくしてあげようっていう思いやりの気持ち。お互い言葉を交わし合って、どうすれば気持ちいいかを教え合うことも大事だね」
「わかりました」
「って、春人君」
「はい?」
「もしかして君は、女性って入れられれば感じるもんだ、って思ってなかった?」
 春人はしきりに恐縮しながら頭を掻いた。「じ、実は……」
「意外に多いんだよ、そういう男性」
「そうなんですね……」
「しかも、女の子の方が気を遣って、それじゃ感じないってことをパートナーに伝えないから、いつまでたってもうまくいかない」
 横に座ったミカが言った。
「気持ちいいのは男だけって、あまりに不公平だと思うだろ? 君も」
「そ、そうですね」
「明日ミカからそのあたりもしっかり教えてもらいなよ」
 ケンジはにっこり笑った。
 春人と春美は一緒に頭を下げた。


 明くる日の春人とミカの実技セラピーが終わると、春人も春美も晴れ晴れとした表情になっていた。
「もう大丈夫です。本当にありがとうございました」
 ミカがいたずらっぽく言った。「もうこんなところに来るんじゃないよ」
 春人は頭を掻いた。「はい。頑張ります」
「これからは二人で気持ちよくベッドタイムを過ごしてね」
 ケンジはそう言って、ホテルのロビーから手を繋いで出て行く春人と春美をミカと共に見送った。


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