〈狂育〉-10
『クククッ…亜季ちゃんに“キスされちゃった”よぉ……ンククククッ！それじゃあお兄ちゃんが下着を着させてあげるね』
「ふぎッ…ひッ！…んぎッ」
存分に口内を堪能されてしまった亜季は、もう立っているのが辛いくらいに泣きじゃくっていた。
俯いたまま手足を突っ張り、止まらない嗚咽に肩は激しく上下している。
……数時間前のレイプの時、亜季は訳が分からぬうちに姦されていた。
身体のあちこちに激痛が走り、息も出来ないくらい苦しかったとしか覚えてはいない。
しかし、今の亜季には“何”が行われているのかが分かっていた。
いや、分かるようになってしまったのだ。
この変態が自分の身体の何処に興味を持ち、どんな使い方をし、どんな欲情を向けるのかを、まだ幼い亜季は思い知らされたのだ。
『クッククク！ほぅら、赤いリボンが着いた紐パンだよ？こういうの亜季ちゃん好きかなあ？』
亜季は悔しくて悔しくて、叫びながら暴れたくなっていた。
モデルやジュニアアイドルとして成功を収められるだけの美貌が、そしてそれを成し遂げる為に人知れず行ってきた努力が、こんな変質者の欲望を満足させる為に奪われ、利用されている。
『右足上げて？そうそう、今度は左足だよぉ？』
自分は着せ替え人形なんかじゃない。
異常者の捩曲がった愛情の対象物なんかじゃない。
吐き気のするような欲望の捌け口なんかじゃない……。
『クククッ…腕を伸ばして〜…ブラのホックはお兄ちゃんが着けてあげるからねえ？』
パンティはピッタリと下腹部を覆い、ブラジャーはしっかりと胸元を抱えた。
亜季は着せ替え人形としての完成を迎え、卑猥な下着姿を披露させられてしまった。
「んひッ！うッ…ぐ！ひふッ！ズズズ！」
いろんな《嫌》な感情が次々に沸き上がり、亜季は声をあげて滂沱の涙を流した。
女児用ブラなどを着用するようになった年頃の女の子からすれば、大人用の下着というのは一種の憧れであり、其れを初めて身に着けた時は、自分自身の女性としての“成長”を実感し、感慨に耽るものだ。
それは亜季とて例外ではなく、姉の下着を見ては「何時か自分も……」と思っていた。
憧れだった大人デザインの下着の着用。
しかし今、身に纏っているブラジャーといえば、真っ赤な肩紐には真っ白なフリルが走り、それはキャラクターの顔がプリントされたピンク色のカップの周囲まで彩っている。
パンティも派手派手しい物で、サイドの紐は大きな蝶結びで締められ、前みごろも後ろみごろも女児用とは思えぬくらいに小さく、その布地自体が肌が透けて見えるほどに薄く出来ていた。
この過剰と言えるデザインは明らかに女児が着用する物ではなく、言ってみればロリコン共の〈妄想〉を捗らせる為の自慰用アイテムである。
亜季の初めて着用した下着とは、性玩具としての意味合いしか持たぬ、単なる装飾品だったのだ。