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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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開口一番にそう言うと少し寂しそうに笑って
「今日は、彼の話は辞めよう」
「・・・・」
「1年ぶりなんだ。次はいつ顔を合わせられるか分からない。
きちんと明日香に謝って、思い出話をするぐらいいいだろう?」
と、そんな風に切りだした。

こんな事を知ったら啓が悲しむ。

心の奥底でそんなことは思っていたけど
自分の気持ちを確かめたくて
重田さんと思い出話を始めた。

本当に好きだった。

でも啓は今の私を大事にしてくれる。

会話の間にも、そんなことをずっと自分で確認していた。

大丈夫。
私は啓が好き。

そんな私を見て、重田さんは
「あいつの事を考えているのか?」
と、苦笑いする。

「え・・・・」

「明日香。1年前は俺いっぱいいっぱいだったよ」
「・・・・」

「念願だったN.Y.への栄転と、その準備で
明日香のことを気にかけてやる余裕がなかった」
「・・・・」
「ごめんな」
「・・・・」

「向こうに行って1年。仕事も余裕が出来てきて
明日香をいつも思い出すんだ」

そんなの、ずるい・・・

「明日香、俺と一緒にN.Y.に来てくれないか?」

え・・・・

「明日香が必要なんだよ」

そう話す重田さんは、1年前と変わらない目で私を見つめた。



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