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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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再び、青森へ…-2

「風馬ってばぁ!引いてるよっ!」
「っ!」

釣竿を持つ人々、下には若干濁った水に浮かぶ魚達、僕が握る竿が動いて、と言うかくい
くいと引っ張らられ、それに気づいた隣で一緒に釣りをしていた一条君に声を掛けられ、
しかし昔話に老けていた僕がそれに気づかず、後になって竿を引いても餌を食べられた針だけが上がってきて。

僕と若葉ちゃん、それに一条君と伊吹さんと4人で予定通り連休を利用し、彼、の居る
この青森へ電車を使い遥々やってきた。

「もしかして、あたる事で不安なの?」
「え…。」

検討違いな事を口にし出した、どうやら僕がその彼について不安がっていると思い、まぁ
確かにそれもあるが。

「大丈夫だよ、あいつ…ぶっきらぼうだけど、とってもいい奴だから。」
「うん、そうなんだろうね。」

恋敵…として対峙していた時は気づかなかったけど、若葉ちゃんがソイツを語る目はとても穏やかだった。

辺りは親子連れや男性客で賑わっていた、彼に前に折角だしと4人で青森の観光を楽しんだ、若葉ちゃんとのデート、二人ともっと関係を深め。

「うーん、天気、良いねぇー。」
「そうですね。」

義兄か…、また敬語を使ってしまった、どうにも伊吹さんと一条君が彼女の保護者に見えて仕方がない。

「釣り得意ー?」
「い、いえっ!正直全く…。」

縮こまって、釣り何てやった事ない、本当言えば虫を掴むのもやっと、そんな人が魚何て
この一条君は例の彼と子供の頃から行ってるようで。

「おおうっ!?引っかかった引っかかったよー。」

そう言ってると彼の竿が震え、すぐさま引っ張るも。

「うひょーこぉーれは手強いぞぅー♪」

薄々思ったがかなりの天然さんだな、この人。

「風馬も手ぇ貸してー!」
「あっ、はいっ!」

危うく「お義兄さん」って付け足す所だった。へっぴり越しで竿を握り非力ながらも必死に腕を振るわせ、そしてピチピチさせたおっきな魚が引き上げられて。

「早くバケツにっ!」
「待ちなさい、まずは網に入れるんだよ。」

と、釣り初心者の僕に対しベテランの彼は手馴れた手つきで網に移し、バケツへ。

「…うわぁー、優雅に泳いでるー。」

その魚は元気にバケツの水で元気に泳ぎ。この前行った水族館で見た魚とは違うな。

「魚くらい掴めるようになったらぁー。」
「む、無理ですよ、ただでさえ虫も掴めないのに。」
「…そんなんだといざと言う時、柊さんを護れないでしょ。」
「魚何て、釣りにでも行かなきゃ居ないでしょう。」
「でも、二人で将来住む時にゴキちゃんが出たらどうするの?」

ゴキちゃん=ゴキブリの愛称。

「そ、それは。」

彼女と将来同居、かぁ。それを思い浮かべ良い気分に、でもその時も可能性はなくも。
彼女も見た目通り?か弱いから虫は掴めない、このままだと呆れて頑張って虫を捕まえれるようにし出すだろうし、というか仲良くなりかねない。だったらここは男の僕が勇気を出すべきだ。

「でも、どうやったら良いんでしょうか。」
「ため口でいいよぉー。」
「…勇気を持てるようになるにはどうしたら良いんだいブラザー。」

彼女の天然が移ったか。そう尋ねると彼は僕の背中に…。

「っ!!?ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

背中にヌルヌルした生温い感触がし出して。

「あっはっはっはぁー♪どうだい、これに慣れればゴキちゃんだって蛇だって。」

両手で豪快に手を叩き、けらけらと嘲笑う、過去に様々な生物に出会ったのか。ぱちぱち
と跳ねる魚を瞬時にバケツに戻す。

まぁ確かにこれならば…。

そんな僕らのやり取りを遠くからクスクス笑う伊吹さんと若葉ちゃん。


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