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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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再び、青森へ…-1

小さい頃から好きだった、森の妖精のように小さくて可愛らしくそして虫も殺さねような子…、弱虫だった僕に微笑んでくれた、そう、いつだって…。だからこそ転校の話を耳にした時は本当にショックだった、父に何度も「何でっ!どうしてっ!」と責め、その度
目を瞑り何を反論するでもなくただ一言「すまん…」そんな息子に対して母は「仕方ないでしょっ!」と嗜まれ。

中学が別々、と行っても僕が転校し名古屋へ行き、最初は電池の切れた玩具の如く生きる気力を失い、未知の光景それに大好きな人が居ない寂しさに生きる希望すら持てず、でも
だからと言って人生を辞めて良い訳も無く、ノロノロと名古屋の学校にも慣れ、一応友達も出来、中学を卒業しそのまま名古屋の高校に入学し、彼女の居ないショックも治まり
本当に仕方がないとすっぱり僕の記憶から消し去ろうとしたその時だった、父が仕事の
関係でまた転校を余儀なくされ、その時もまた怒りを覚えた…と言っても前のように彼女が居なくなるショックはない、再び築き上げた友好関係が破棄されるだけだ、と。

でもその二度目の転校が僕にとって意味のあるものとなった、それは。

「星蘭高校って若葉ちゃんが居る所よね?」
「えっ!?」

母が急に言い出した一言、タンスの奥底に眠らせ埃だらけの記憶が存在が一気に音を立てるでもなく引き戻されたような…。

こんな偶然はあるモノだろうか、彼女が知らない内に転校しその転校先の北海道に父が
転勤し、その中の数ある高校から彼女の居る高校に行く事になり…、こんな偶然ある筈がない…、でもそんな不信感よりも急に徐々に膨れ上がってきた彼女への存在感に胸を躍らせた、幼稚園からの幼馴染の親同士何か裏で手回しでもしたのだろう、少なくとも母は僕が彼女に好意を寄せているのは薄々分かっていたそうで、それにこれは運命何だ、と想い
新しい教室には見た事もない顔ばかりが並んでいて、そしてそこに僕が長年思いを寄せて
いた少女の姿が…、小学校以来顔も見ていなかったけど、人よりも小柄に変わらぬショートヘヤー、何よりも穏やかで優しい顔、忘れる筈もない。

僕は案の定夢のように思い彼女に近寄った、そして彼女もまた僕を忘れて居なかった、
子供の頃と変わらない付き合いに神に感謝すら覚えた。

だが後になって神を憎んだ、まさかその彼女に恋人が居る、だ何て。長年想いを寄せる者のエゴだが人見知りで増して恋何か知らない純粋な彼女に彼氏何か出来る訳が、と。

彼女の横に馴れ馴れしく駆け寄ったその男はとてもチャラチャラしていて、聞くと女の子にモテモテで、だから僕は真っ先に思った。

彼女はコイツにもて遊ばれている!…と。

ショックとこみ上げてくる嫉妬と言う名の怒りから彼女がいくらその男が良い人だ、とても優しい人だ、太陽のように暖かいだの説明してきてもまともに耳を傾けず騙されているんだ、そればかりで…楽しそうにソイツを語る彼女が可哀想に思えてきて。

彼女の目を覚まさせる為、そして彼女を僕の物にする為、ありとあらゆる手段に出た、ある時は彼女の交友関係から彼女の友人を利用したり、またある時は強引に、まさに手段を択ばないとはこの事。

挙句の果て、怒りが頂点に達し握っていた包丁でその恋敵を……、今想えば自分でも恐ろしいくらいな事をした。

それでも自分は悪くない、あの男が純粋な彼女を良いように利用してるだけなんだから…と、しかし彼女の泣きじゃくる真っ赤な横顔を目にし、我に戻った。

自分は何てことを、それからは二人の間に入る事はなく、彼女を暖かく見守り、あんな男でも実は良い奴なのかも…と、決して認めた訳ではない、悪魔で彼女の為罪滅ぼしではないが自分なりに彼女の幸せを思い、彼女との関係を落ち着かせる為、もう会えないと思っていた彼女に会えた、それで良しと思い、小さな小さなモヤモヤを見て見ぬフリをして。

そしたら神はまた僕に好機をくれて…。


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