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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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ミ (side紗江子)-1


「おい!紗江子、ちょっと待てよ」
席を立ったところで啓に呼び止められた。
「何?」
「なんだよ?あれ」

私の開いた合コンが啓は気に入らないらしい。
「何?って合コンよ。啓も約束通り呼んであげたじゃない」
「合コンって、俺以外の男が明日香にやたら話しかけてるんだけど」
「合コンだもの」

「女の子はほかに何人もいるだろうが」
「しょうがないじゃん。あの人たちは明日香が好みなんでしょ」
「っ!」

オシャレな間接照明の店内が程よいボリュームの音楽で
私たちの小声の会話がかき消される。

「啓、私の隣の子、啓の事狙ってるんだよ。気が付いてるでしょ」
「・・・・」
「明日香に一途なのもいいけど。他に目を向けるのもいいんじゃない?」
「・・・・」
「そもそも、なんで啓は明日香にきちんと自分の気持ちを言わないのよ」

この言葉がどれだけ大きなお世話か、私が1番よく知ってる。

「私は明日香にも幸せになってほしいけど、啓にも幸せになってほしいんだよ」
「・・・・」

何が幸せかなんて。
その人じゃなければ分からない。

愛されることが女の幸せなら、
明日香は迷うことなく啓と一緒になるべきだけど。

愛する相手とじゃなければ、幸せを感じないと思うなら
それはもう、明日香にしかわからない。




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