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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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-1

「へぇー、そうなんだぁ。」

すっかり彼との通話は星空が見える静かな夜と決まった感じとなり、私と青森の彼との二人だけの決まりになった感じでちょっぴり嬉しい。ジャスミンの香りの入浴剤を投入しやや熱めのお風呂に浸かり、彼と今日は何を話そうか考えるのがまた幸せ、そして冷蔵庫に買い置きしておいたチョコアイスにアイスコーヒーを持ち、部屋で彼と会話を愉しむ。
「今、風呂上がった所かい?」

私の身を案じてくれる、女の子にとっては嬉しい事のようで。

「うんっ!君が夜は比較的時間が空いてるって言うから基本的に夜に電話する事にして、
美味しいアイスに冷たいコーヒー片手にこうして話すが一番の楽しみ。」
「そっかぁー。」

自分の想いを彼に伝える、そんな幸せそうな私を想像出来たか、電話越しの彼も何処か幸せそうな声を出す。

「でも、何も無理して夜に電話してこなくても良いんだぜ?君ってば変に律儀だから。」
「そうですかぁー?」
「あぁ、毎回9時7分ぴったりに電話してきて。」
「君が最初に言ったんですよ?「またこの時間帯に…」って。」
「いや、それはっ……ったくこの前は焦ったぜ、風呂入ってたのに後で思い出して焦って
上がって、したら丁度電話が鳴って。」
「まぁ、そんな事が、すみません…じゃー今度は9時13分にお電話しますね。」
「あーいや……ぷっ、あはははははぁっ!」

突然吹き出す彼、幸せってこういう事を言うのかな。

「何だか楽しいよな、こうして話すの…。」
「えぇ、普通に学校で話すのとは違いますね。」

人は失って初めてそのありがたさに痛感する…、お爺ちゃんがポツリと言った一言。

「お爺さん良い事言うね。」
「はい、君が遠くに行った事を打ち明けたら果物をくれて慰めてくれました。」
「良い人だよね、俺たちにすいかご馳走してくれたり、旅行に連れてってくれたり。」
「はいっ!……彼があの時拾ってくれなかったら今頃…私は。」
「柊さん。」

私の両親は私が幼稚園児だった頃、何度も喧嘩ばかりしていて、ロクに会話もせずそして
とうとうストレスの限界に来た母が私を残して家を出てしまい、それからは父が男手一つで私を育ててくれて…、だけどそんな父も私が中学を卒業しようとした時、交通事故に遭いそのまま帰らぬ人となってしまい、葬式でも結局母は来ず、そんな時に不甲斐ない娘に
怒りを覚え、私を拾ってくれて。

「へぇー、じゃーお爺さんは母方の。」
「えぇ、責任感じてるのでしょうかね。」

と言うより子供を放っておく我が子に対しての怒りと許せなさかな、その分を力に私を本当に良くしてくれて。

「君も、複雑だったんだね。」
「はい、じゃーお互い様かな。」

私が最初彼に気に掛けたのはそんな同情からだったけど。私は不意に彼が言った「いつか
俺の家族になってくれ!」…その言葉を今の話をしてますます叶えたいと強く思った。

「所で、あの。」
「うん?」

私は不意にこの前優華さんに食って掛かった事を想い返す、本当は彼に今の彼女の様子を
聞きたかったのだけれど、何だか聞く勇気が無い、もしまた変な事してこの幸せな会話を
壊しちゃいけない…いや壊したくない、そう思うと躊躇ってしまい。

「ううんっ!何でもない。」
「……連たちは今どうしてる?」

話を切り替え、こっちの様子を伺う。

「順調よ、一条君は君が居なくなって悪戯する相手が居なくなって寂しさから対象者を巴
ちゃんに切り替えたのよ、美術で彼女の似顔絵を割と上手に描いたは良いけど後で鼻歌まじりに落書きして、最後は巴ちゃんが豚と化したみたいで。」
「……うわぁ。」
「調理実習何て、二人で順調にスイーツが出来上がりそうだったのに、一条君ってば
くしゃみをして目の前にあった粉が巴ちゃんに直撃して、もうバ○殿さんみたいに顔が白くなってそれを見た彼が「アイーン♪」…もう噴火した火山の如く彼を追い回して、もう
先生に二人して怒られて。」
「……うわぁ。」
「一週間は口聞かなくてちょっと大変でしたよ。」
「巴、すまない。」
「もぅー巴ちゃん言ってましたよー「早くけぇってこいこんちきしょー!」って。」
「何処の方言だよー。」

まぁ楽しくやっている訳でして。

「そういや遠足の方はどうだ、進んでる?」
「はい、風馬君と一緒に買い出しもして。」
「えっ!?誰と…?。」

失言だった、風馬君の名前は彼と話してる時にするべきではないんだ、でも幸い上手く聞き取れなかったようで。

「い、いやっ最近仲良くなった女の子、一年の時には居なかった子。」
「…そうか、ならいいけど。」

さて、今度はそっちの状況を訪ねようか。

「こっちでは最近苺狩りに行ったんだ。」
「え、三人で…ですか?」
「?一人で行ったら虚しいだろ…、兄貴と優華さんが珍しく休みが重なって折角なんだし
皆で何処か出掛けようって事になって。」
「ど、どうでした?」

二人の最近の仲の悪さから訪ねるのが少し不安だけど。

「とっても楽しかったぜ、優華さん何て美容にも良いっつって沢山採って、兄貴何か途中でバテて、近くのベンチでどっしり腰を下ろして、あれじゃたまの休みの日に歩き回るのに疲れて一人ポツンとするお父さんみたいだぜ。」
「そう、楽しそうで何よりです。」
「おーい若葉ぁー、ちょっと手え貸してくれぇーい!」

下からお爺ちゃんの声が聞こえ、お手伝いをお願いしてくる。

「ん?今何か聞こえたけど。」
「あ、うんお爺ちゃんがちょっと手伝って欲しいって。」
「そっかじゃー今夜の会話はこの辺で。」
「うん、また今度。」

通話時間に不意に目をやると一時間は超えていた。

楽しそう…かぁ、なら良いけど。


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