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月が闇を照らす時
【コメディ その他小説】

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伝説が空を舞う-1

生徒会室。さてどこにあったかな? なんせ、生徒会にはあまりお世話にならないからな…
俺の後ろに居た二人も知らないようだ。
白鳥の奴め聞こえているならさっさと道案内しやがれ! といくら念じてみても、無視しているのか術を解いたのかはわからないが、うんともすんとも返答がない。
仕方が無く、廊下に設置された液晶パネルに手を触れる。
この液晶パネルからは学校のあらゆる情報を閲覧する事が可能なのだ。例えば、学校の見取り図を出すなんて造作もない。
見取り図を見て改めて思うがうちの学校は広いな。
一学年20クラスあり、7クラスが工業系、3クラスが商業系、残りの10クラスが普通科となっていて。 えっと、一クラス30人だから… 同じ学年に600人の生徒がいる訳か。
校舎は8棟あり、北側から順番にアルファベットがふられている。
俺達がいるのはA棟。この棟は男女のロッカールームや学食、あと先ほどまでいた図書館もこの棟である。
えっと、生徒会室はっと。 あった学校の校舎で唯一、直方体ではなくて円柱型をしたE棟の四階だ。
E棟は別名、職員棟と呼ばれいて。一階から四階まで職員室になっているが、まさかこんな所にあるなんて、予想外だ。
A棟を出てE棟へ行く。
エレベーターに乗り4階行きのボタンを押した。
何故、人はエレベーターに乗ると無口になるのか。と考える前に4階へと吐き出された。
西日が窓から差し込み、目にしみる。
目的地は日がうっとうしいくらい当たっていそうな一番西側に位置していた。
扉の前に立つと、また意識の中にまた声が割り込んできた。
(遅かったな。 入りたまえ)
とりあえず入ったら一発殴ろうと決意して、扉をあけた。
「いらっしゃい、どうぞ」
俺達を出迎えてくれたのは少女だった。
「皐月ちゃーん、今日もかわいいねぇ」
「あら、好野君お上手ね」
西野城皐月はブロンドの髪を揺らしながらクスクスと笑った。
「広樹さん! 早くこっちに来て座ってください」
緑は俺の腕を引っ張って無理やりソファーに座らせると、自分はその隣に腰をおろした。
皐月ちゃんがにっこり笑顔でコーヒーを人数分、盆に乗せて運んできた。
一口すする。うん、うまい。
「さて、さっそくなんだが」
ちょうど窓から入る西日を背負うように座って机の上で手を組んでいた白鳥はあの鉄面皮のままそこに居た。
「これをみたまえ」
白鳥は皐月ちゃんに何か合図らしきものを送ると、皐月ちゃんは備え付けられたテレビをつけて、ハードディスクレコーダの再生ボタンを押した。
映し出されたのは、どこかの学校の明け方4時の映像だった。
何故4時と分かるのか、ぶっちゃけて言うと画面の右隅に表示されているのだ。
誰もいない校舎を斜め上からのアングルで撮られたそれは一分ほど何の変化も無かった。
俺がそろそろ白鳥を殴って帰ろうかと思いだした時。
それは、俺を硬直させるためには十分な光景が映し出された。
突然の爆発。校舎のあった場所には、今や瓦礫の山が築かれていた。
瓦礫から黒いものが出てくる。人型のそれは全身を黒いマントで覆い、手には身の丈ほどあるデスサイズを握っている。まるで、死神だな。
不意に跳躍したそれは画面から消えた、と思ったらいきなりアップで映し出さた。それがデスサイズをこちらに向けて切りつける。
画面は砂嵐だけが映し出された。
「これは、今日の早朝に撮影されたものだ。 こいつはこの後。『我、世界の代弁者なり』と叫んで行方をくらましたそうだ。そこでだが」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「何だ」
白鳥は自分の語りを止められたのが嫌だったのか、ため息まじりに言った。
「せっかくの皐月ちゃんのいれてくれたコーヒーがさめちまう。 先に飲んでから聞こう」
俺は、白鳥、緑、凪から向けられている『こいつは何を考えているんだ』的意味がこもった視線をもろともせずに、少し温度が下がって飲みやすくなったコーヒーを一口すすった。
うん、うまい。

〜続く〜


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