投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

いまいましいおんな
【その他 恋愛小説】

いまいましいおんなの最初へ いまいましいおんな 0 いまいましいおんな 2 いまいましいおんなの最後へ

言葉にも顔にも出せない感情-1

天文科学館のドームの中に入った。
黒い大(お)っきいプラネタリウム…天象儀が私を迎えてくれる。
私はまわりのようすをちらちらうかがいながら、東寄りの座席に腰をおろす。
まさか今日も……と思って、北寄りの座席を見よったら、やっぱり来よった。
高校の同級生の、ユウ子が来て座りよった。

私は、名乗るほどの者やない高校二年生の女子。
まわりの子らには内緒やけど、星を見るのが好き。
まあ、「天文マニア」言うより「天文学(てんぶんがく)」に寄っとるね。
天体の「観測研究」はついていけんけど、天体の「風情(ふぜい)」を眺めとるだけやねんね。

そんな私やから、小学生ん頃からプラネタリウムに よう来よるけど、高校に入ってからユウ子が来よるのを見るようになった。
見る、言うても必ず会うんや。
私は、プラネタリウムの投影テーマが変わったら来るんやけど、来る間隔はまちまちなんや。
急に予定があいた休日に、フラッとプラネタリウム見に行っても、ユウ子の姿は見るんやわ。
別に声かけたりせえへんし、向こうは気がついてへんけど、あの子 どんだけプラネタリウムに来とるんよ。

それに、毎回毎回ちがう男子といっしょ。
ユウ子は学校では「清純派」で男子から人気があるんよ。
そやけどプラネタリウムに連れて来とるのは、学校で見覚えのない男子ばっかり。
まあ、よくおモテになることで。
こないだはオジサンっぽい男性やったけど、今日は小学校高学年くらいの男の子といっしょ。
いわゆる「おねショタ」言うやつ?
プラネタリウムが始まったらドームの中が暗くなるから、
「だいじょうぶ。お姉ちゃんにまかせなさい。」
なんてこと言うて、男の子にキスしたり愛撫したりするつもりなんやろ。
ふざけるなよ、ユウ子。
ここは私らにとっては「世界的五大古豪プラネタリウム」の聖地なんやからね。
闇にまぎれて男とチチクリあう場所にせんといて!

……いつのまにか、プラネタリウムの西空は真っ赤な夕焼けになっていた。



いまいましいおんなの最初へ いまいましいおんな 0 いまいましいおんな 2 いまいましいおんなの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前