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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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1-3

少しかすれたような声で、倉田結子は男を座らせた。
「悪いけどママが来るまで私一人なの。6時くらいまで待ってもらえる?」
富岡はちらりと腕時計を見た。まだ2時を過ぎたばかりだ。だが、また出直すのも面倒で、富岡は了承した。
「この反対側に大きなスーパーがあるの。そこにカフェがあるから、そこで。いいかしら」
「わかりました。じゃぁ、待っていますので」
 

6時を過ぎてもまだ辺りは明るい。
夏休みと言うことで人も多かった。結子が指定したカフェは広いテラスに面しており、すぐ前は海が広がっていた。米軍の施設があり、軍艦が見えた。マニアにはたまらないだろうな、と思った。その気がなくてもなかなかいい眺めだ。東京で生まれ育った彼には、海が見える暮らしは一種の贅沢でもあった。潮風が気持ちいい。
「お待たせしてすみません」
声に振り向くと結子が立っていた。スキニーデニムにキャミソール、その上に白いシャツを羽織っている。黒髪は胸まで伸びて、ごく緩いウェーブがかかっている。
「いいえ。仕事中に失礼しました」
富岡はバッグから名刺を出すと渡した。
「何を飲みますか?買って来ますよ、僕ももう一杯欲しいので」
「アイスコーヒーを」
ふたつカップを持って席に戻ると、結子はけだるそうに体を傾けてタバコを吸っていた。
目の前に置くと「ありがとう」と言った。
「さっそくですが」
「スティーブのことでしょう?どうして私のことわかったの?」
「まぁ、いろいろルートはありますので。それで、彼とはどのくらいのお付き合いで?」
ふー、と煙を吐くと灰皿でもみ消した。指先にはマニキュアもない。水商売の割に地味な女だと思った。富岡はノートパソコンにワードを起動した。
「どのくらいって。初めて寝たのが去年くらいかしら、彼とは年も離れているし付き合いって言うほどのことはないの。時間が合えば会って、ご飯行って寝て。スティーブには本命がいるから、そっちを当たった方がいいんじゃない?」
表情をほとんど変えずにそう言った。
「本命と言うのはアメリカ人女性ですね。そちらはすでに他社が当たっているんですよ。ですから、私は別の面の彼を知っているであろうあなたに話を聞きたいんです」
「私なんて単なる暇つぶし程度の女よ。彼女と喧嘩したとか、そんな時だけ連絡してきて抱いて、またねって感じ。だから、彼のことはよく知らないわ。中学生をレイプしたって言うけど、それもわからない。おそらくベースで拘束されてるんでしょうけど、一切連絡がないの」


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