恋-3
仕事帰りにいつもの居酒屋で1時間ほど飲んで。
そのまま家に帰ると、遅い時間にチャイムが鳴った。
なんとなく・・・
吉野さんだ。
そう思って、インターフォンの画面を見ると春の夜に少し寒そうな吉野さんがいた。
今日はこの前の続きをする?
何とも言えない恥ずかしさと説明できない気持ちでいっぱいになる。
「遅い時間にごめん。
今まで仕事だった。下のコンビニで弁当買って来たからここで食べていい?」
私達女子を区切りのいいところで帰したあともずっと仕事をしてたんだ。
これ見よがしに、わざとらしくため息をついて、
しかたない。という感じで「どうぞ」と部屋に通した。
「お茶が良いですか?ビール?」
「麻子は?夕飯はどうした?」
会社では佐々木さん、なんて今まで通り呼ぶくせに
二人になった途端、麻子って呼ぶんだね。
そんなコトには気付かないふりをして。
「居酒屋で食べてきた」
私も敬語を辞めてみる。
そんな私の心を見透かしたように、
じっと私を見た後に、顎を軽く上にあげてあの笑いをする。
「少し酔ってる?だからか。色っぽいな」
そう言って上から下までじっと見るから
思わず恥ずかしくなってカーディガンの前をかき合わせた。
「エッチ」
「男なんてそんなもんだ」