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黒い訪問者 リターン
【熟女/人妻 官能小説】

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黒い訪問者 リターン-2

「どちら様ですか?」
「藤本です」
聞き覚えのある低い声だ。
「どちらの藤本さんですか?」
「お忘れですか?2年前に一度お会いしていますが・・・」
あの藤本だった。志津子にとって忘れたくても忘れられない忌まわしい過去である。
「どのようなご用件ですか?」
「ここでは話せませんので、中に入れてくれませんか?」
「あの・・・今日は母が留守しておりますけど・・・」
「いいんです。あなたに用があるんです」
「どのような?」
「ここでは言えません」
「そう言われても困ります。お帰りください」
志津子はインターホーンを切った。しかしまた鳴った。
「あの・・・警察呼びますよ」
「良枝さんに頼まれて来ました」
「母にですか?」
「はい」
志津子は仕方なく藤本を入れた。

「息子さん、残念でしたね」
藤本は礼儀正しく一礼すると居間のソファに座った。仏壇と遺影に目がいく。
「ちょっと拝ませて頂きます」
「ありがとうございます」
志津子は藤本が別人のようにいい人に見えた。黒のスーツ姿も似合っていた。相変わらず色黒の肌と長い茶髪を後ろで縛っている。
「目元はあなた似ですね」
「ええ」
そしてそれ以上は何も言わなかった。自分と似ている所を見つけているようだった。
「可愛いですね。たった一年で世を去るとは・・・」
「はい」
「あの、お茶どうぞ」
「ありがとうございます」
藤本はゆっくりと湯呑を持ち茶をすすった。
「上手い。あのときも上手かったけど、今日も上手いお茶だ」
藤本はゆっくりと湯呑をテーブルに置いた。
「母から頼まれたというのは?」
「先ほど電話をもらいました」
「え?旅行先から?」
「はい。湯河原だそうですね」
「ええ」
「志津子さん、今度こそ元気な子を産みましょう」
藤本は身を乗り出し目を輝かせた。
「それはどういう意味ですか?」
「今日はまた治療に来たんです。お子さんを授かるようにね」
志津子は嫌な予感がした。少しずつ後ろに下がり逃げる機会をうかがった。
「良枝さんの願いでもあります。嫁の務めでもありますよ。志津子さん」
「いや」
志津子は逃げようとしたが、一瞬速く藤本に腕を掴まれてしまった。
「すぐに終わりますよ」
「いや。だいたいあなた、本当に医者なの?」
藤本は答えずに笑った。

「二階の寝室がいいですか?」
「どうしても今から?」
「はい。今ならご主人もいませんから」
志津子は葛藤した。確かに子供は欲しいのだ。だがまたしても主人以外の人の子を宿し、そしてそのことを一生隠していかねばならないのだ。
「子供諦めます?言っておきますけど、ご主人以外の方と関係を持たなければ、あなたは一生子供は望めませんよ」
子供は欲しい。確かに欲しい。志津子が悩んだ。
「あの病院での不妊治療ではだめですか?」
「原因はあなたではない。ご主人だ。ご主人に病院に行ってと言えますか?」
「それは・・・」
「大体一度生まれてるのに不妊治療なんておかしんではないですか?」
それもそうだ。じゃ誠はどうして生まれたってことになる。仕方ない。我慢しよう。志津子は決心して首を縦に振った。
「じゃ大人しく治療を受けてください」
「はい」
「二階の寝室行きましょう」

階段を一段ずつ志津子は昇り、そのあとをゆっくりと藤本が昇る。二人は寝室に入った。


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