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黒い訪問者 リターン
【熟女/人妻 官能小説】

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黒い訪問者 リターン-1

誠治と志津子はなかなか子供に恵まれなかった。姑の良枝は志津子に原因があると決め付けていた。結婚10年目のある日、良枝は知り合いの息子である婦人科医藤本の診察を志津子に受けさせた。誠治にばれぬよう平日の昼間に自宅に招いたのだ。その診察は極めて怪しいものであったが、二人には待望の男の子が生まれた。姑の良枝は志津子に優しくなり家族4人で幸せな毎日が続いた。その子の名は夫の一字をとり誠。誠の目元は志津子に似ていた。笑った顔はそっくりだった。だが、夫の誠治に似ている所はなかった。誠の尖ったような鼻は誠治よりむしろ藤本に似ているのだ。実は志津子は不妊治療と称してあの日この家で藤本に犯されたのだ。それも姑の目の前で喘ぐ姿を見られてしまった。そのことが良枝の本能に火をつけ、その後良枝と志津子は人に言えぬ関係を持つようになった。勿論誠治は子供の父親は自分だと疑っていないし、母と妻が淫らな関係になっているとは夢にも思っていない。誠治は良枝にとって優しい夫である。不満と言えば夜の生活ぐらいであった。その性欲のはけ口は良枝との行為で解消して日々良き妻であり続けた。そんな毎日に突然の不幸が襲う。誠が生まれつきの心臓疾患で生後わずか1年で死んでしまったのだ。

 誠が死んで三ヶ月が経った。誠治や良枝は立ち直っていたが、志津子だけはまだ力が抜けたままだった。夫はまた作ればいいと言うが、多分もうできないだろう。誠は藤本との子なのだ。季節は秋。優しい誠治は志津子のために二人だけの温泉旅行を計画した。二人きりになって一晩中燃えて、子供を授かろうと思ったのだ。志津子は誠とのセックスでは演技をしていた。もう誠治とのセックスに何も興味もない。そんな状態で温泉に行っても気が重いだけだ。そして志津子はその日夕食時に切り出した。
「誠治さん、悪いけど私温泉には行けない」
志津子はお茶碗をテーブルに置いた。
「どうして?」
「そんな気分になれないのよ」
「誠のことは俺も辛いんだ。志津子だけじゃない」
「わかってます」
「弱ったな、もうキャンセルしても全額返ってこないよ」
誠治はお茶を一気に飲んだ。
「じゃお母様と行ったら?」
「え?嫌だよ」
「たまには親孝行したら?」
志津子は押し切った。
「志津子さん、本当に一緒に行かないの?」
良枝は心配そうに言った。
「お母様。たまには親子二人でのんびりして来てくださいよ」
「志津子、じゃ俺も残ろうか?」
「何を言ってるの?お母様一人で行かせるの?」
「そうだけど、志津子と行こうと予約したんだぞ」
誠治は子供のように口を尖がらせた。

そして夫と姑が温泉に行く日となった。志津子は姑の鞄を持って玄関前に止めてある車のトランクに入れた。文句ない青空である。
「湯河原は近いから気が変わったら電車で来いよ。部屋も三人部屋だし」
「わかった。ありがとう」
二人は車に乗った。
「誠治さん、安全運転でね」
「わかってるよ」
ゆっくりと車は走り出し、最初の角を右折するまで志津子は見送った。正直一人になりたかった。頭が混乱している。夫以外の子を育てながら夫を騙していたのは辛かった。誠が死んだことによってその罪悪からは解放された。ただ、愛田家を継ぐ者を亡くしてしまったのは悲しいことだ。夫とはもう子供はできないだろう。彼にはきっと種がないのだ。

昼過ぎになって姑から電話が来た。
「志津子さん、本当に来ないの?」
「はい。ちょっと体もだるいんで」
「そう。一人でいるほうがのんびりできるわけね?」
「お母様、そんなつもりで言ったのでは・・・」
「冗談よ。じゃ明日の昼には帰りますから」
「わかりました。楽しんできてください」

志津子はのんびりとソファで昼寝をした。目が覚めたときは空が夕暮れ色になっていた。どうしよう、買い物行くかな。外食にしようかな。一人だと作らなくていいから気楽だった。そんなときだった。玄関のチャイムが鳴った。志津子はインターホーンの受話器をとった。


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