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『graduation』
【青春 恋愛小説】

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『graduation番外編〜彼女が嫌いな彼女〜』-8

雪見先輩がたまにサークルに顔を出せば、タッタッタッと走り寄って。

「都築先輩って優しいですよね〜」

「まぁ優しいんじゃない?」

雪見先輩はそれくらいじゃ反応してくれない。

「この間の追いコンの時、1女で一人浮いちゃった子がいてぇ〜そしたら都築先輩ちゃんと話し掛けてあげてたんですよ〜」

「ふうん。偉いね。」

これでも全然だめ。

「人の傷つくこととか絶対言わないし〜」

「......。」

顔色が若干変わった。あなたは都築先輩に傷つくこと言われたことがあるんですね?

「あと、寂しがりやの私をいじってくれる。なんか私のコト見守ってくれてる感じがするんですよ〜勘違いかもしれないけどっ」

先輩の顔色が完全に変った。

「秘密主義のとこもステキですよね!なんか暴きたくなる〜」

もう一押しと畳み掛ける。

しかし、もう雪見先輩は戻ってしまっていた。

「へぇ〜都築も大人になったのね。前は、特定の人としか喋らないような奴だったのよ。」

普通の顔で、普通の声で、淡々と述べる。

ああそうですか。それが大人のやり方ですか。

それだったら容赦はしない。

絶対都築先輩はあたしが落とす――――。





それからは、ほぼ毎日部室に通った。

都築先輩が毎日部室に入り浸っているのを知っていたから。

お昼もよく一緒に食べた。

一緒にいる時に、よく携帯が鳴ってそのままどっかに行ってしまうことも多々あり、『彼女』がいるんだろうことは簡単に推測できた。

けどそんなことはどうでもいい。

あたしの目的はこの男と一度だけでも寝ることだから。

そしてそれを雪見先輩に報告し彼女の顔を歪ませることだから。



しかし「都築先輩を一夜寝取る作戦」には思わぬ邪魔が入った。

またサークルの女子に呼び出されたのだ。

今回は1人。部室の真向かいにある屋上だ。

香子だった。そう言えば香子が都築先輩にお熱だという話も噂になっていたっけ。


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