投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

プラネタリウムの最初へ プラネタリウム 116 プラネタリウム 118 プラネタリウムの最後へ

N.-8

小野寺さんに朝イチであんな話して、脱力もいいとこだ……と、思っていたお昼休憩。
「風間さぁー、言っちゃ悪いかもだけど、最近ちょっとぽっちゃりした?」
隣に座る高橋が陽向の二の腕をつまんだ。
心拍数が跳ね上がる。
今日の今日で言わなきゃダメ?!
「いたっ!」
「はは。前より食べるし、どーした?」
「あー……あの。ちょっと…あの、みなさんに言わなきゃいけないことがあって…」
「え!なになに?!結婚?!」
「うわー!幸せ太りかー!」
「彼氏料理人さんだもんね!いいもん食べてんのー?」
一緒に休憩していた先輩たちがぎゃあぎゃあ騒ぐ。
「……」
言いづらい雰囲気になる。
…でも、いつか言わなきゃいけないんだし。
言わなきゃ。
「あの…」
陽向がそう言うと周りがしんとなった。
「に…妊娠してるんです」
みんながビックリした顔をする。
それもそうか。
…と、突然高橋に「風間!おめでとう!」と抱きしめられる。
「え、ホントなの?!」
「はい…」
陽向は引きつった笑顔を向けた。
「なんでそんな嫌そうな顔してんの?!ちょーハッピーじゃん!あー……風間の子供はめちゃくちゃ可愛いんだろーなぁ…。目がクリクリでまつ毛が長くてさ、あ、ホラ彼氏もイケメンじゃん。だから、外人の赤ちゃんみたいにさ……」
「わかるー!」
「男?女?」
「妄想し過ぎですって!」
「あははは!それはそーとさ、体調大丈夫なの?風間、身体弱いキャラだし」
「あはは…それは否めないやつですね。でも今は全然なんともないんで平気です。小野寺さんにも、ギリギリまで受け持ちやらせて下さいって頼みました」
陽向はヘラヘラ笑った。
「うわータフだね。無理しないでよ?風間1人の身体じゃないんだから」
「はい」
「でも、風間が受け持ちやってくれるの嬉しいなー」
「えっ?!」
「だって風間、アツいんだもん!」
高橋は陽向の頭を叩いた。
「マジだよ。1年目の頃はさ、めちゃくちゃに言われまくって……うん、同期の中でもかなりトップでけちょんけちょんにされてたけど」
「あーやっぱり……」
「まーまーそれは事実として、置いといて。風間はすんごい成長してるから。ビックリするくらい。だからね、今その話聞いてちょっと寂しくなったのも事実。でも受け持ちやりたいって言ってくれた風間は、本当に患者さん思いの、本当に優しい看護師だね」
高橋はそう言うと、陽向を抱き締めた。
そして「限りある時間の中で、風間に看てもらえる患者さんは幸せだよ」と言ってくれた。
なんだか、涙が出てくる。
「あ…りがとう……ございます」
「えー!やだーー!なんで泣いてんの?!」
「だってっ…」
高橋はヒンヒン泣く陽向の頭を優しく撫でた。
「すぐ泣くー!泣き虫ママはやだねー?」
お腹をさすって高橋は笑った。
湊と同じこと言ってる。
それがまた嬉しくて泣けてくる。
「風間」
「はいっ…」
「全力でサポートするから。やりたい看護、やりな。今まで風間が思った事に間違いはなかったから。自信持ってやるんだよ。相談も乗る。最後まで、あんたらしくいなね」
「ありがとうございます」
周りにいた先輩も笑顔を向けてくれた。
「また泣いてる」って言って笑ってたけど、何もかも嬉しかった。
素敵な職場で好きな仕事が出来て、周りの人にも恵まれて……自分は幸せだ。


プラネタリウムの最初へ プラネタリウム 116 プラネタリウム 118 プラネタリウムの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前